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日本はズルいのか 穂森幸一

2026年5月14日14時05分 コラムニスト : 穂森幸一
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イスラエルよ。あなたの預言者どもは、廃墟にいる狐のようだ。あなたがたは、主の日に、戦いに耐えるために、破れ口を修理もせず、イスラエルの家の石垣も築かなかった。(エゼキエル13:4、5)

私が中東のヨルダンを旅行していたとき、一人のアラブの青年に「日本人ですか」と声をかけられました。彼は、日本の憲法に興味があると言うのです。特にどの部分に関心があるか尋ねると、婚姻の箇所だと言いました。日本の憲法では、一夫一妻制が憲法で定められているので素晴らしいと言うのです。

その青年は、一夫多妻が好きではないけれど、自分たちの国では当たり前だから、従わないといけないと話しました。もし一夫一妻制が憲法に定められていたら、憲法に定められているからという理由で堂々と拒否できると言うのです。

私は、日本の憲法9条には「戦争を放棄し、軍隊を保持しない」とあるが、どう思うか聞いてみました。その青年は、戦争に行きたくないし、戦場で殺し合いをしたくないから、戦争を放棄するというのはいいことだと思うと答えてくれました。その青年は続けて「ただ、自分の国が侵略されるのは嫌だから、軍隊は必要だ」と言いました。

さらに彼は、「憲法で軍隊を持たないと言いながら、実際には外国の軍隊を雇っているではないか。これは日本が経済大国だからできることではないか。憲法でうたっていることと現実が違うのではないか。これで平和国家というのならズルい」と言うのです。本当に痛いところを突いてきます。

米軍駐留が、アラブの青年には外国の軍隊を雇っているように見えたのかと考えさせられました。戦後の日本にはあいまい戦術というのがあります。踏み込んで議論しなければならないところをぼかして先延ばしにしようとすることです。

戦後の日本は何度か国際紛争に巻き込まれそうなときがありました。その度に9条を持ち出し、争いには関与せず、経済的利点だけを受けてきました。一番特異なものが朝鮮特需とベトナム特需です。これを足掛かりにして経済成長を遂げました。日本はあいまい戦術によって利得を受けましたので、ズルいと見えても仕方ないのかもしれません。

日本の現行憲法は、占領軍が短期間で作成して押し付けてきたもので、文章表現などにも修正した方がいい箇所があるし、国民のコンセンサスを得たものでないから、早めに改正した方がいいという意見があります。逆に、戦争放棄が記されている9条は何としても守らなければいけない、これを外すと昔の軍国主義に戻るかもしれないという護憲派の意見もあります。

戦後80年間、憲法改正問題については、政界のアンタッチャブルな分野として本格的な論戦が避けられてきたのが実情です。現実が平和だから無理して論議しなくてもいいのではないかと問題にふたをしてきました。しかし、上辺の繕いは、いざ事が起きたとき、すぐに崩れてしまいます。

実に、彼らは、平安がないのに「平安」と言って、わたしの民を惑わし、壁を建てると、すぐ、それをしっくいで上塗りしてしまう。(エゼキエル13:10)

世界のどこかで紛争や戦争があるのが現実ですが、自分の国が巻き込まれていない限り、平和な状況に安心して、平和をつくり出す努力を怠っている自分自身がいます。「平和だ」と叫んでいたら大丈夫そうな気がしていますが、世界の権威機構や軍事バランスが崩れたら、すぐに紛争が起きてしまうのがこの社会です。

平和を維持し、信教の自由を守り抜くためには、国の指導者や政界の人々が道を誤らないように注視し、祈りのうちに支えていかなければならないと思います。法律の整備も他人事だと思わず、祈りの課題にしていくことが求められていると思います。

明治の初めに政府の岩倉使節団が欧州各国を訪れていたとき、キリスト教を禁制にしているということで、どこに行っても激しく非難されました。そのため、使節団の中では禁制を取り下げることで一致していたのですが、200年以上続いたキリシタン禁制をどういう手続きで取り下げるか、議論があったそうです。

一方、政府の留守番役をしていた西郷隆盛のもとに、島原のキリシタンから禁制を取り下げてほしいという陳情書が送られていました。西郷は、具体的な法律は使節団が帰ってから決定するだろうから、とりあえずキリシタン禁制の高札を取り外すように指令を出しました。この時の西郷の返書は、島原の資料館に展示されています。

まだ法律的には整備されていなかったのですが、高札が外されたことで、一気にキリシタン解放の機運が全国に広まり、やがて明治憲法が制定されたとき、当然のように「信教の自由」が組み込まれることになったのです。

80年間放置された憲法改正問題は、国論を二分しています。過去の軍事行動に対する反省、危機の迫る周辺環境、さまざまな信条や感情が入り混じって大変な状況ですが、結論を出す時期が来ていると思います。国家の未来を見据える祈りも、私たちクリスチャンの大切な使命です。真のグローバルリーダーとしての日本の在り方が問われています。

終わりに言います。主にあって、その大能の力によって強められなさい。悪魔の策略に対して立ち向かうことができるために、神のすべての武具を身に着けなさい。(エペソ6:10、11)

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※ 本コラムでは、特に断りのない限り、聖書の引用は新改訳(第3版)を使用しています。

◇

穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
穂森幸一牧師のFacebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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