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なぜ「選択的夫婦別姓」にこだわるのか 穂森幸一

2026年4月2日19時15分 コラムニスト : 穂森幸一
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あなたの父と母を敬え。あなたの神、主が命じられたとおりに。それは、あなたの齢(よわい)が長くなるため、また、あなたの神、主が与えようとしておられる地で、しあわせになるためである。(申命記5:16)

聖書の世界は、家族中心になっています。アダムとエバ、ノアの家族、アブラハムとサラ、イサクとリベカから物語が始まります。一つの家族が大きくなったときに、部族となり、部族が成長して国家になります。アブ(父)ラム(部族)が、アブ(父)ラハム(国)とされたことに(創世記17:5)、大切なメッセージが込められています。家庭と家族を大切にしないところに、国家の成長はありません。

聖書の教えでは、母親は土台であり、父親は柱です。どちらが欠けても家は成り立ちません。どちらが上とか下ということはありません。役割が違いますので、お互いに尊重することが必要です。

それはそうとして、あなたがたも、おのおの自分の妻を自分と同様に愛しなさい。妻もまた自分の夫を敬いなさい。(エペソ5:33)

労働組合の集合体である連合も経団連さえも「選択的夫婦別姓」に前向きだというのは、どういうことなのでしょうか。高市首相が提案する「旧姓使用法案」ではだめなのでしょうか。職場での旧姓使用、免許証やパスポートへの併記、銀行口座名義での旧姓使用では不十分なのでしょうか。

連合などは「夫婦別姓法案」を何としても押し通したいと動いているようです。現行法では男女平等が実現されない、女性が不利な立場に置かれているというのです。果たしてそうでしょうか。夫婦別姓ということは、家の中に2本の柱を立てるようなものです。このことに子どもたちが振り回され、不安定になってしまうかもしれないことは考えないのでしょうか。

一説には、ある政治勢力が日本の戸籍制度を破壊するための糸口として、夫婦別姓を利用しようとしているのではないかと聞いたことがあります。日本の戸籍制度は、明治の初めごろにスタートした、世界に類を見ない優れた制度です。私の父が亡くなったとき、財産整理をしなくてはならず、役所に特別な戸籍謄本をお願いしたのですが、江戸時代末期の先祖のことまで記したものが出てきて、驚いた経験があります。

戸籍で自分の身元を特定されたら困る人々がいるから戸籍を無くしたいとか、外国人労働者をどんどん受け入れたいから市民権登録だけにして、戸籍は不要にしたいという人々がいるとの声もあります。

法務省の発表によりますと、昨年日本国籍を取得した帰化許可者は9258人ですが、多い年には1万7633人(2003年)が取得しています。日本を愛し、文化を尊重する人々は歓迎しますが、少しもなじまず、社会に悪影響を及ぼす人々は受け入れたくありません。

1592(天正20)年に豊臣秀吉は朝鮮出兵し、西日本の大名たちにも参加を促します。その時に、薩摩の島津義弘も参戦し、朝鮮の陶工を連れ帰りました。陶工たちはそれぞれ、薩摩の地で陶芸にふさわしい土を求めて散っていきます。東市来にふさわしい土を見つけた沈壽官は、伝統的な薩摩焼を造り上げていきました。

第14代沈壽官は、人間国宝の指定を受けています。現在の当主は第15代ですが、お会いしたとき、とても興味深いことを話してくださいました。結婚なさるとき、作家の司馬遼太郎さんが仲人だったそうです。その時、「100パーセントの日本人であれ、しかし自分のルーツを大切にしなさい」と語られたそうです。とても含蓄のある言葉ではないでしょうか。

古代ユダヤ人は、家系図をとても大切にしていました。500年、千年くらい前までそらんじていたといいます。たとえ戦場で遭遇しても、お互いの系図が重なれば、戦うことをやめたそうです。

マタイ福音書1章には、ダビデから始まるヨセフの家系が記され、「ヤコブにマリヤの夫ヨセフが生まれた。キリストと呼ばれるイエスはこのマリヤからお生まれになった」(16節)とあります。ユダヤ人にとって、ダビデの家系から生まれたということが大切な意味を持つことを示しています。

最近の欧米における反キリスト傾向は、目に余るものがあります。公の場所での祈りを禁じたり、学校で聖書の話ができなくなったりしています。LGBTに関しても、生物学的には男性の人が、自称女性として女子スポーツに参加する問題など、全て、聖書に示された秩序を無視することから始まっています。

メディアの情報をうのみにして論議している人を見かけて、あぜんとすることがあります。テレビのアナウンサーが言ったことだからとか、大手新聞に書いてあるからといって文字通り受け入れていては、世界情勢や政治問題も本質を見誤ってしまいます。聖書のフィルターにかけて、霊的な目で見ていかなければと思います。

キリスト教左派とかキリスト教右派などという区分をする人々もいるようですが、教会は本来、右とか左とかに分けられる所ではないと思います。どの立場の人も、等しく神の前に祈りをささげる所です。

古代ユダヤでは、家庭が信仰伝承の場となっていました。柱である父親を敬っていましたが、いざというときに、父親は命を懸けて家族を守っていました。古代の家族の在り方を古臭いと言わずに、もう一度学ぶ時が来ているのかもしれません。

わが子よ。あなたの父の訓戒に聞き従え。あなたの母の教えを捨ててはならない。それらは、あなたの頭の麗しい花輪、あなたの首飾りである。(箴言1:8、9)

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※ 本コラムでは、特に断りのない限り、聖書の引用は新改訳(第3版)を使用しています。

◇

穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
穂森幸一牧師のFacebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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