この夏に開催されるオリンピック・パラリンピックの開催期間に合わせ、フランスでは教会が協力してさまざまなイベントを企画し、人々が福音に触れる機会にしようとしている。
プロテスタントの福音派は「アンサンブル2024」(英語)として、7月から9月にかけ、パリを含む国内8都市で、30のイベントを企画。約20の宣教団体が協力し、スポーツ大会や観戦パーティー、主要競技会場近くの教会を会場にした賛美コンサートなど、さまざまな内容のイベントを開く。
カトリック教会は、パリ大都市圏の8つの教区が協力して、「聖なる競技大会(ホーリー・ゲーム)」(フランス語)を開く。米ナショナル・カトリック・レポーター紙(英語)によると、それぞれ1週間にわたる3つのプログラムで構成されており、2つはオリンピック期間中(7月26日~8月11日)、1つはパラリンピック期間中(8月28日~9月8日)に行われる。
パリ大司教区とフランス・カトリック司教協議会が協力して開催するもので、聖職者や信者だけでなく、一般人も一緒になってオリンピック・パラリンピックを観戦し、ミサをささげ、さまざまな文化活動を通じて親睦を深める。若い信者や未信者を、信仰に基づく活動に参加させることを狙っているという。
欧州の福音派メディア「エバンジェリカル・フォーカス」(英語)によると、アンサンブル2024は「オリンピック・パラリンピックの開催期間中に、言葉と行いによってキリストを広めることを目指す教会、宣教団体、個人の連合体」だと、全国責任者のマシュー・グロック氏は説明している。
アンサンブル2024は期間中の祈りも大切にしており、加盟教会が国内にいる福音派信者の7割をカバーするフランス福音主義協議会(CNEF)がその中心を担っている。グロック氏は、祈りの課題として以下の3つを挙げている。
- キリストにある一致:クリスチャンが共に働く姿、人々に接する姿を通して、キリストにある一致が明らかにされるように。
- 心の準備:神が準備された人々に真の福音を届けるために、神がこれらの努力を用いてくださるように。そして、多くの人が信仰に導かれるように。
- 永続的な実り:オリンピック・パラリンピック期間中の協力を通じて学んだ教訓が、教会や宣教団体がフランスで福音を伝えるために協力する方法に、永続的な変化をもたらすように。
アンサンブル2024は福音派による取り組みだが、米クリスチャニティー・トゥデイ誌(英語)によると、世俗主義的なフランス社会で論争が起こることを避けるため、直接的な宣教活動は行わないことにしているという。
オリンピック・パラリンピック期間中には、1500万人を超える観光客がパリを訪れると見込まれているが、観光客が利用するトイレや給水所などの不足が懸念されている。そうした観光客のために、教会のトイレを開放したり、教会に給水所を設置したりすることは、アンサンブル2024が呼びかけていることの一つだ。教会の中には、フランス語や英語が堪能ではない観光客のために、他言語にも対応可能な通訳を置くところもあるという。
また、直接的な宣教活動は行わないとしているものの、出場選手のためのチャプレンを派遣したり、クリスチャンアスリートが証しを分かち合う時間を設けたりすることは計画している。この他、フランス聖書協会はオリンピック・パラリンピック期間中に、クリスチャンアスリートの証しが掲載された特別版の新約聖書を20万部配布する計画で、アンサンブル2024はこうした聖書の配布も呼びかけている。