存命中の世界最高齢者としてギネス世界記録に認定されていたフランス人修道女のリュシル・ランドン(Lucile Randon)さんが現地時間17日午前2時(日本時間同10時)、同国南部トゥーロンの高齢者施設で就寝中に死去した。118歳と340日だった。
1904年2月11日、同国南部アレス生まれ。祖父が牧師というプロテスタントの家庭で育ったが、19歳でカトリックに転会。家庭教師や教員を経て、44年に修道女に。「シスター・アンドレ」の名で呼ばれた。
米CNN(日本語版)は、「生涯のほとんどを宗教活動にささげてきた。修道女になる前の第2次世界大戦中は子どもたちのために献身し、その後の28年間は親を亡くした子どもや高齢者に病院で寄り添った」と伝えている。
その生涯で、現職のエマニュエル・マクロン大統領を含め、18人のフランス大統領を経験。カトリックのトップであるローマ教皇も、現職の教皇フランシスコを含め10人を経験してきた。
2009年からトゥーロンの高齢者施設に入居。21年には、116歳で新型コロナウイルスに感染したが、無症状で済んだ。
長らく欧州最高齢者とされ、22年4月11日に福岡市の田中カ子(かね)さんが119歳で死去したことを受け、世界最高齢者となった(関連記事:世界最高齢の田中カ子さん死去、119歳 戦後クリスチャンに 教会で幼稚園開設)。
ギネス世界記録によると、史上最高齢者は、同じくフランス人女性のジャンヌ・ルイーズ・カルマンさん。1875年2月21日に生まれ、1997年8月4日に亡くなるまで、実に122年と164日にわたって生きた。
ランドンさんが亡くなったことで、世界最高齢者は、米カリフォルニア州生まれで、現在はスペインに在住している115歳のマリア・ブラニャス・モレラさんとなった。
国際的な老年学研究者団体「ジェロントロジー・リサーチ・グループ」(英語)によると、現在世界には「スーパーセンテナリアン」と呼ばれる110歳以上の人が、モレラさんを含め8人存命している。いずれも女性で、このうち4人は日本人。
日本最高齢者は大阪府柏原市在住の巽(たつみ)フサさんで、現在115歳。モレラさんよりも52日若く、世界第2位の高齢者となっている。