現在ボスニアに住む妊婦のナジュバ(仮名)は、宣教団体イラン・アライブに次のように語った。
「私が今まで歩んできた人生は、恐怖とともに育ち、恐怖とともに結婚し、この残酷で恐怖に満ちた世界に生まれる子どもを産むことを心配した女の物語です。私はいつも心の中にこんな疑問を抱いていました。『神様、私の家族は最後にはどうなってしまうのでしょう?』と」
ナジュバはイランの宗教的な家に生まれたが、それは伝統と迷信の宗教であった。彼女は、実家で過ごしていたとき、幼い時からいつも感じていた混沌を思い起こした。
「心の平安と充足を求めて、私はイスラム教にどっぷりつかり、さまざまな方法を試しました。しかし、それは恐怖と不安を増大させるだけでした。私はいつも何か悪いことが起こることを恐れ、罪悪感を感じていました。悪いことが起きると、何度も自分のせいにしていました」
ナジュバの母は、呪(まじな)いと魔法を込めた祈りの言葉を用意し、ナジュバがどこへ行くにも、それを肌身離さず持っていくようにと言いつけた。しかしナジュバは、それが悪霊的なものだと知っていたので、持っていくことを拒んでいた。
「私は真の神、そう、平和の神を捜していたのです」と彼女は言う。
ナジュバは結婚し、夫と共にボスニアに移り住んだ。理由は彼女が言うところの「社会問題」だ。ボスニアでは、亡命を申請するために教会に通うことが義務づけられていた。その中には、62段の階段を上って入る教会もあった。妊娠中の彼女にとっては決して小さくない負担だ。ところが、コロナウイルスが流行すると教会は閉鎖されたのだ。
ナジュバは、イラン・アライブの放送をZOOMで視聴するよう誘われた。そして彼女は、その放送を通してイエス・キリストを救い主として受け入れたのだ。
「その瞬間、私は今までの人生で探し求めていた平和と安らぎを得ました。私は、神の霊が私の上に臨み、私の絡まった心の糸を解きほぐすのを感じました。あのむなしい考えや見当違いの恐怖が頭から出ていき、心が洗われるようでした」
ナジュバがイラン・アライブに手紙を寄せたとき、教会が再開したときには洗礼を受けたいと切望していた。彼女は、神に仕え、神について学んだことを全て家族に伝え、彼らもキリストの救いを受け入れることができるように、自分の人生をキリストにささげたいと手紙に書いたのだ。
「今日、私の心臓が鼓動する瞬間瞬間に、私に命を与え、生かしてくださる神がおられるのを実感します。そして、私の胎内にいる子どもは、聖霊のささやきによってのみ慰められるのだと知っています。この子は、光と慈しみに満ちた、恐れのない道を歩むと信じています」と書いて、彼女は手紙を締めくくった。
亡命者として国を離れる寂しさは、いかばかりだろう。しかし彼女はそこで、真の平安と安らぎをキリストにあって見つけた。しかもパンデミックによって教会が閉鎖されたために、彼女はZOOMを通して福音的かつ聖書的な信仰に触れて、生けるキリストを見つけたのだ。
彼らのように、ある事情によって全てを捨てて国を離れなければならない亡命者や避難民らが、その行った先で、全ての憂いと悲しみを精算して余りあるキリストの救いを見つけることができるように祈ろう。そのために労するミニストリーやボスニアの兄姉らの宣教のために祈っていただきたい。
■ ボスニア・ヘルツェゴビナの宗教人口
カトリック 12・6%
プロテスタント 0・1%
正教関係 28・2%
イスラム 54・2%
無神論 4・9%