英南東部ケント州カンタベリーで、アングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)に連なる世界165カ国の聖公会の主教ら600人以上が集う「ランベス会議」が開催されている。期間は7月26日から8月8日まで。主教らはこの間、共に祈り、共に聖書を学び、共に世界的な課題を話し合うことで、次回会議開催までの今後10年について神が示される道筋を仰ぐ。
全世界の聖公会の主教らが一堂に集うランベス会議は155年の歴史があり、今回で15回目の開催。1867年の第1回会議以来、ほぼ10年に1度の頻度で開かれている。第14回会議は2008年の開催で、第15回会議は当初、18年に予定されていた。しかし、同性愛の聖職や女性主教に関する意見の対立などにより2年延期され、さらに新型コロナウイルスの影響でもう2年延期され、4年遅れでの開催となった。
第15回会議のテーマは「神の世界のための神の教会」。このテーマの下、主教らは共に祈り、主題聖書箇所となっている新約聖書のペトロの手紙一を中心に聖書を学び、気候変動や科学の進歩、キリスト教会の一致、宗教間協力まで、グローバル社会が直面する主要な課題について話し合う。
ランベス会議の招集者であるカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは、参加者に宛てた手簡で、今回の会議は「歴史的な機会」だとし、イエスが弟子たちに団結するよう呼びかけたことについて記している。
「新型コロナウイルスの大流行によって、私たちは2年前、世界中の物事がどのように変化していくのか考えることもできませんでした。このことは、気候変動や、多くの国々で見られる戦争や紛争、私たちの世界が抱える巨大な不平等といった現在進行中の課題とともに、私たち全員に深い影響を与え続けています」
「第15回ランベス会議に集った私たちは、会議の特権と責任を極めて重大に感じています。この会議の目的は、『神の世界のための神の教会』であることの意味について、聖霊の示しを見極めることであり、私たちは『共に歩み、耳を傾け、証しする』ことを追い求めるのです」
「私たちは世界を断片化し、分裂させるものが多くある時代に生きています。しかしキリストは、証しと礼拝において一つになるよう教会を召しています。イエスを世界に表すために」
「2022年、共に旅立つに当たり、私たちは、神の聖霊が私たちを導いてくださるよう祈ります。そして今後10年間におけるアングリカン・コミュニオンの世界的な証しのため、神の御心を求めます」
アングリカン・コミュニオンの総主事を務めるジョサイア・イドウ・ファーロン大主教は、会議の案内書の序文で、次のように記している。
「私たちの会議の鼓動は、『共に歩み、耳を傾け、証しする』です。この言葉は、おそらくキリストが教会に与えた最大のチャレンジを反映しています。一つになること。キリストと互いへの奉仕のために、一つの体として生きることです。2022年に集まるこの重要な瞬間を、私たちが互いに耳を傾け、地域社会や教会が経験してきた多様性から学び、互いに仕え合うことを求める機会にできますように」
2020年に再延期が決まったことで、第15回会議は3段階のプロセスとして再設計され、各教会と、各教会が奉仕する地域社会の両方にとって、永続的な成果を生み出すことを目標としている。
20年から会議開催までの期間は「共に歩む」段階で、主教らはこの2年間、会議に関連するテーマについてオンラインで対話を行ってきた。2週間にわたる会議の開催期間は「共に耳を傾ける」段階。そして、主教らが会議で話し合った成果を共有し、アングリカン・コミュニオン全体でさらなる行動を起こすのが「共に証しする」段階となる。
ランベス会議の模様は公式サイト(英語他)で毎日、更新されており、一部の基調講演は、ユーチューブやフェイスブックでライブ配信もされている。