先住民同化政策の一環として設立されたカナダ最大の寄宿学校の跡地で、3歳の子どもを含む215人の子どもの遺体が発見されたことを受け、同国では5月30日、連邦政府庁舎を含め各地で半旗が掲げられた。
英公共放送BBC(英語)によると、この集団墓地は、西部ブリティッシュコロンビア州カムループス近郊の先住民寄宿学校跡地で発見された。この学校は、先住民同化政策のための寄宿学校制度の一環として建てられたもので、1978年に閉校した。
カナダのジャスティン・トルドー首相は30日、自身のツイッター(英語)に「旧カムループス寄宿学校で命を奪われた215人の子どもたちと、家に帰れなかったすべての先住民の子どもたち、生存者、その家族に弔意を表するために、(オタワの)ピースタワーと連邦政府のすべての建物で半旗を掲揚するように指示しました」と投稿した。
カナダの「国立真実和解センター」(NCTR、英語)によると、同校は1890年、カトリック教会が運営する形で開校。開校時は、先住民を対象とした寄宿学校では同国最大の規模だった。ピーク時の1950年代には、500人もの生徒が在籍していたという。その後、69年からはカナダ政府の運営となり、78年に閉校されるまで、地元の学校に通う生徒の寄宿舎として使用された。
バチカン・ニュース(英語版)によると、バンクーバー大司教区のマイケル・ミラー大司教は、「深い悲しみに包まれている」とする声明を発表した。
「このようなニュースが引き起こす痛みは、教会が運営する寄宿学校で起きたすべての悲劇的な状況を明らかにする必要があることを私たちに思い出させてくれます。時の流れは、影響を受けた先住民のコミュニティーに与えられた苦しみを消し去ることはなく、私たちはその苦しみを癒やすためにできる限りのことをすることを誓います」
米ロサンゼルス・タイムズ紙(英語)によると、カナダでは同化政策により19世紀から1970年代までに、先住民の子どもたち15万人以上が、国費で運営されたキリスト教学校に通うことが義務付けられた。子どもたちは、キリスト教への改宗を強制され、母国語を話すことも許されず、殴られたり、言葉の暴力を受けたりし、約6千人が亡くなったと推定されている。カナダ政府は、これらの学校で肉体的、性的虐待が横行していたことを認め、2008年に連邦議会で正式に謝罪。15年までに、亡くなった子どものうち4100人以上の身元が確認されている。
カムループス司教区のジョセフ・グエン司教も声明を発表し、「私は心を痛め、恐怖を感じている多くの人々に謹んで哀悼の意を表します」と述べた。
「カムループスのカトリック教区を代表して、カムループス・テ・シュスワップ(地元の先住民団体)のロザンヌ・カシミル代表と、この悲劇を嘆き悲しんでいるすべての人々に、心からのお悔やみを申し上げます。この恐ろしい発見は、悲しみの言葉では十分に表現できません」
記者会見を開いたカシミル氏は、「私たちはまだこの影響を受けています。想像もできない喪失です。これは厳しい現実です。これは私たちの歴史です。これは真実を明らかにし、子どもたちに敬意を示すためのものです」と語った。