中国政府が昨年6月、香港国家安全維持法を施行したことに抗議して、英国政府が香港市民向けに特別ビザ(査証)を発給することを受け、香港からの移住者を歓迎し、英国での生活をサポートするための教会主導の特設サイト「UKHK」が開設された。
UKHKは、養子縁組支援などを行う英慈善団体「ホーム・フォー・グッド」の創設者であるクリシュ・カンディア氏が、英国国教会ロンドン教区のサラ・マラリー主教の協力を得て開設した。
中国で祝われる旧正月の12日に合わせて公開されたUKHKは、英語と香港で使われている広東語の2カ国語に対応。英国における住居や医療、教育のほか、スポーツや娯楽、文化活動なども案内する。また、人々の居場所となる地域の教会を紹介するマップや、各種手続きなどを手助けしてくれる教会ボランティアの紹介も行っており、すでに500以上の教会が登録しているという。
特別ビザの発給対象は、1997年の香港返還前に生まれた香港市民が持つことのできる「英国海外市民(BNO)パスポート(旅券)」の保持者とその家族ら。特別ビザが発給されれば、英国で就学や就職が可能となり、5年間滞在すれば永住権を得られ、さらに1年後には市民権も取得できる。
英政府は1月31日から特別ビザの申請受付を開始。資格を満たす香港市民は290万人に上るとされ、英政府は5年間で26万~32万人の香港市民が申請すると試算している。
一方、中国政府はこれに先立ち1月29日、BNOパスポートを31日からパスポートや身分証としては認めないと発表。香港市民はBNOパスポートの他に香港政府発給のパスポートも所持できるため、直ちに出国できなくなることはないが、中国政府はさらなる措置も示唆しており、問題が深刻化する懸念もある。