日本聖公会管区事務所は、世界に41ある聖公会の管区から37管区の首座主教らが参加して11月5と6の両日にオンラインで行われた首座主教会議の共同声明(コミュニケ)を日本語に翻訳し、ホームページで公開した。新型コロナウイルスのワクチンを開発している国の政府に対して、世界保健機関(WHO)と緊密に協力し、最も弱い立場にある人たちに公正かつ公平な配分を確保するよう訴えた。日本聖公会からは、武藤謙一首座主教が会議に参加した。
共同声明によると、会議では各首座主教がそれぞれの地域の新型コロナウイルスの影響について報告したが、「驚くべきことに、世界のさまざまな異なる場所で、強い類似性が見られた」という。健康面以外に最も重要な関心事は「雇用の喪失、飢餓、教育の喪失に代表される経済的影響と、将来への見通しについてだった」とし、「家庭内暴力は、世界のあらゆる地域を悩ませている隠れた流行病」と指摘した。
さらに、「多くの国では、新型コロナウイルス感染症は多くの疫病のうちの一つにすぎない」とし、紛争や汚職、環境破壊、自然災害などの「疫病」が各地にまん延していると指摘。教会がこれらの課題に立ち向かうため、「言葉と行い」で福音を宣(の)べ伝えるという召命を実際に生きることを決意した。
教会内部の児童性的虐待の問題については、虐待の疑惑を適切に調査、報告することを妨げる傾向が教会の指導者たちの中にあることを認め、「被害者と生き残った者に与えた傷と損害を悔い改め、このようなことが将来的に起こるのを防ぐことができるような文化を作ることを約束する」とした。
全聖公会中央協議会(ACC)で新たに設置が承認された「アングリカン・コミュニオン科学委員会」については、「委員会の設置を喜ぶとともに、科学と信仰の接点をめぐっての働き、とりわけ、健康、農業、気候変動の諸課題についての成果を期待している」とした。
英国国教会で新たに発表されたセクシャリティーなどに関する資料「愛と信仰に生きる」(英語)については、「この教材が、英国教会とその教会員が聖書の文脈の中でのアイデンティティー、セクシュアリティー、人間関係、結婚についての諸問題を議論するのに役立つよう設計されたことは特筆されるべき」とした。
1月の首座主教会議で41番目の新管区となったアレクサンドリア管区については、同管区のムニエール・アニス大主教と指導者たちが、エジプト政府からの承認を得るために努力していることを全面的に支持。アフリカ大陸の首座主教たちがエジプト政府に提出した最近の書簡で、同管区を独立した聖公会管区として承認するよう求めたことを歓迎した。
全世界の主教が集う10年に1度の「ランベス会議」が今年予定されていたものの、2022年に延期されたことについては、プレ会議として18カ月間にわたってオンラインで持たれる「バーチャル・アングリカン・コングレス」の計画を歓迎。次回のACCが23年初頭にガーナのアクラで開催されることと、首座主教たちは21年11月にオンラインで再会し、22年3月にはイタリアのローマで対面式の会合を開催することも確認した。