新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、日本カトリック司教協議会会長の髙見三明大司教(長崎大司教区)は3日、談話「新型コロナウイルス感染拡大のただ中で」を発表した。談話では、司教団がこの日認可した祈祷文「新型コロナウイルス感染症に苦しむ世界のための祈り」を紹介。「感染者、亡くなられた方々、医療従事者、為政者、経済的に大きな打撃を受けた方々など、すべての人々に必要な助けと力が与えられるよう、主キリストを通して父である神に祈りと願いをささげましょう」と呼び掛けた。
髙見大司教は談話で、「私たち人間は神に愛され、神にかたどって創造され、神から地上のものをすべて治める使命を与えられ、神に見守られています。しかしその人間は、塵(ちり)、野の草、息や影のような存在でもあります」と述べ、人間の偉大さと脆(もろ)さの両面を指摘。「だからこそ、私たちは、キリストを離れるなら何もできないということを心に留めて、何ものをも恐れずひたすら神に信頼を置き、救いへの希望を持ち続けたい」と述べた。
さらに、活動が制約されて不自由な生活を余儀なくされている一方で、「多くの人たちが家庭生活、人間関係や自然との関係について新しい気付きや発見をしていることは注目に値する」と指摘。「主日のミサが中止になることで、あらためて主日のミサの意味を考え、ありがたさを噛みしめている方もおられるのではないでしょうか」などと述べつつ、信仰生活の見直しを求めた。
主日のミサで出会うキリストは「私たちが皆キリストを中心につながっていることを思い起こさせ、ご自分と同じように私たちが慈しみの心をもって他の人を愛するために共にいてくださいます」とし、「特に今回のような窮状にあるときこそ、その慈しみの心が発揮されるはず」と述べた。その上で、「自分のいのちの安全だけを考えるのではなく、他のすべての人々のいのちを心にかけて、適切な行動を取るようにしましょう。感染した方々に対して決して非難や差別などの言動に走ることのないように注意し、むしろ彼らに寄り添う気持ちを大切にし、回復のために祈りましょう」と呼び掛けた。
最後に、基本的な感染予防策を提示し、「これらを徹底して実行することが大変重要」と強調した。
談話で示された司教団認可の祈祷文「新型コロナウイルス感染症に苦しむ世界のための祈り」と基本的な感染予防策は次の通り。
新型コロナウイルス感染症に苦しむ世界のための祈り
いつくしみ深い神よ、
新型コロナウイルスの感染拡大によって、
今、大きな困難の中にある世界を顧みてください。病に苦しむ人に必要な医療が施され、
感染の終息に向けて取り組むすべての人、
医療従事者、病者に寄り添う人の健康が守られますように。亡くなった人が永遠のみ国に迎え入れられ、
尽きることのない安らぎに満たされますように。
不安と混乱に直面しているすべての人に、
支援の手が差し伸べられますように。希望の源である神よ、
わたしたちが感染拡大を防ぐための犠牲を惜しまず、
世界のすべての人と助け合って、
この危機を乗り越えることができるようお導きください。
わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。希望と慰めのよりどころである聖マリア、
苦難のうちにあるわたしたちのためにお祈りください。
基本的な感染予防策
(1)石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒などを丁寧に行う。
(2)ドアのノブや手すりなどを手で触れ、その手で口や目に触れることで感染する可能性があるといわれているので注意する。
(3)集団感染を避けるために、次の3つのことが同時に重ならないように注意する。
①換気が不十分な密閉状態で、②人が密集してお互いの距離を十分確保せず、③近距離で会話や発声が行われる。
(4)バランスのとれた食事と十分な睡眠をとって、免疫力と抵抗力をつける。