今日は、映画の紹介、そして、ある事案の認知件数の紹介からスタートします。
まず、映画のご紹介です。今月の16日(土)公開作品「8年越しの花嫁」。佐藤健さん、土屋太鳳(たお)さんが主演の映画で、公式サイトやフライヤーによると本当に起きた実話のようです。ストーリーについては、公式サイトなどで確認していただければと思います。
今週の土曜日公開です。たまには映画鑑賞に出掛け、リラックスなさるのもいいと思います。素敵な映画のひとときをお過ごしください。
それから、ある事案の認知件数です。約22万4000件。これだけで、何の認知件数かお分かりでしょうか。この数は、全国の小中高校、特別支援学校で認知されたいじめの件数です(2015年度)。
日本全国での年間ストーカー被害は約2万2000件(全国の都道府県警察が2016年に把握した件数)ですから、ストーカー被害の10倍以上のいじめが全国の小中高校などで認知されたわけです。おそらく、実際のいじめの数はもっと多いはずですが。
22万件の認知。とんでもなく大きな数です。ちょっと数の勉強ですが、約22万という数字。傘の忘れ物と同じ数でもあります。JR西日本に届けられる落とし物の傘の数が年間約22万本なのです(2015年)。それから、人間の顔にある毛穴は約20万個といわれます。皆さんの顔にも約20万個の毛穴があるということになります。
20万でも途方もない数です。それ以上のいじめが、日本全国の小中高校などで認知されたのです。(注:コラム準備途中の10月26日に発表された、いじめの認知件数は過去最多の約32万件(2016年度)。全国の小中高校と特別支援学校が認知したいじめの件数は、約22万4540件から約32万3808件と大幅増加。)
さて、いじめは容認できないものであり、絶対的な悪です。いじめをしている人やいじめに加担している人は、即刻やめなければなりません。もし、いじめている、またそのようなことに加担しているならば、そのことは完全に悪い行動です。
いじめられている皆さんに申し上げます。いじめてくる相手がしていることは、正しくありません。受け入れず、我慢せず、逃げず、毅然と立ち向かいましょう。ヘラヘラした態度だといつまでも続きます。毅然とした態度で戦ってください。
キリスト教というと、「右の頬を打つような者には、左の頬も向けよ」のイメージですね。確かに、それはキリストの言葉です。でも、何されても耐えろ、赦(ゆる)せ、我慢しろという意味なんかではありません。その言葉の意味は、間違ってとられ、教えられていますが、皆さんが思っているような意味ではありません。
信じられないという方は、新約聖書のヨハネの福音書(新約聖書第4巻目)18章22節、23節を読んでみてください。今すぐ、スマホからでも読めますよね。ここで、「右の頬を打つような者には、左の頬も向けよ」と語られたキリストが、どのように対応していると思いますか。ぜひ、実際読んでください。
キリストは、不法に役人から打たれたとき、さらに別のところを打たせようとはしませんでした。逆に、毅然とした態度で「どうして、わたしを打つか!」と宣言しています。これが、キリストの教えであり、生き方です。キリストのように毅然と対抗し、戦ってよいのです。それが、聖書が教える正しい対処方であり、キリストの教えです。いじめグループに正しい方法でガツンと言わせ、彼ら(彼女ら)に勝利することは良いことであり、できることです。
ここからは、自分が誰かをいじめているわけでもないし、誰かにいじめられているわけでもない方々への提案です。現在、いじめは暴力だけではなくなっているようです。無視、仲間外れ。また、考えるだけで気分が悪くなるような内容のことも篠原は聞いています。性的ないじめもあるようです。明らかに犯罪レベルのものです。
そして、いじめの認知件数が1年で約9万件以上も増加している、これが実態です。考えていただけますでしょうか。息子さん、娘さん、また弟さんや妹さんが、それから親戚のあの子が、学校でいじめのターゲットにされているかもしれないのです。
いじめの内容の酷さは年々エスカレートしているはずです。2016年2月に公開された「十字架」という映画を皆さんにお薦めします。重松清さんの同名小説が原作、主演は小出恵介さん、木村文乃さんです。
舞台は中学2年のとあるクラス。そのクラスである子がいじめを受けています。その内容の酷いこと酷いこと。ひどいものを強制的に見せられたり、裸にされたり、学校のとある部屋に押し込められた上で酷いことをされたり、とんでもないものを食べさせられようとしたり。そして、とうとうその子は自宅敷地の木で首を吊り、自殺してしまいます。考えさせられる映画だと思います。ぜひ、DVDをレンタルしてみてください。
いじめに対抗して立ち上がりませんか。いじめを撲滅するべく立ち上がりませんか。いじめというものは、この国に存在してはいけないものだと思います。そして、いじめに対抗して立ち上がること、いじめを撲滅すべく立ち上がることは、どこからでもできるはずです。
学校だけでなく、会社、サークル、地域、塾、同好会ででも。なぜなら、そこらでもいじめが起こっているはずですから。いじめは学校で子どもたちの間だけで起こっている問題ではなくて、どこにでも、どの年代の人たちの間にも起こっているのではないでしょうか。無視、悪口、仲間外れ、からかい、暴力、暴言、その他いろいろな形で。
ですから、このコラムを読んでくださっている小学生から大学生までの学生の皆さん、そして、ビジネスマンの皆さんやOLの皆さん、女優の皆さん、経営者の皆さん、政治家の皆さん、キャビンアテンダントの皆さん、主婦の皆さんに提案させていただくのです。
さて、映画の話になりますが、「8年越しの花嫁」の公式サイト、また同映画のフライヤーでは、「意識の戻らない恋人を、あなたは何年待てますか」という印象的な問い掛けがされています。また予告篇でもドーンと出てきます(特報30秒ユーチューブで視聴可)。
「あなたなら何年ですか?」と問い掛けられたならどうでしょうか。仮にですが、恋人(婚約者)が突然病気で倒れ、意識不明の状態になってしまったら、あなたはどれぐらい待ちますか。意識の戻らない寝たきりの彼(彼女)を、あなたはどれぐらい待てるでしょうか。一年でしょうか。半年でしょうか。ずっとでしょうか。正直に、「1週間も無理!」と答える方もいるでしょう。
男性の皆さん。いかがでしょうか。彼女が意識不明になったとして、意識を回復するまでずっと待ち続けることができるでしょうか。女性の皆さん。いかがでしょうか。あなたのフィアンセは、あなたが意識不明になったとしたら、ずっと回復まで待ってくれるでしょうか。
アメリカ合衆国第31代大統領であるハーバード・フーヴァーは、食糧庁長官、商務長官を経て、大統領になりました。彼は、幼い頃に両親を亡くし、苦学して大学まで卒業し、世界各地の鉱山で働くことにより財をなしました。
その彼は、長官として、飢餓で苦しんでいるソ連の人々、そして大戦後のドイツの人々に食糧支援を行いました。そのことにより、「寄るべなき子どもたちの友」と呼ばれた人物でした。また、ニューヨークタイムズは「10人の最も重要な生きているアメリカ人」に彼を選びました。(『100人の聖書』107ページなどを参照しています)
意識不明の恋人を、ずっと待ち続けることは難しい選択かもしれません。意識が回復するまでずっと、待つのですから。もしかしたら、意識を回復しないで、そのまんまになってしまうかもしれないのです。だから、その選択をするのは難しいはずです。
しかし、フーヴァーのような生き方をするという決心、選択は、「突然の病に倒れ、意識が戻らない恋人をずっと待ち続ける」という決心、選択よりは簡単にできると思います。フーヴァーのように、「寄るべなき子どもたちの友」となる人生、また「弱い人たちの友」となる人生は。
皆さんの周りに、いじめで苦しんでいる子(クラスメート)がいるはずです。皆さんの周りに大人のいじめで苦しんでいる人がいますよね。いじめに立ち向かえるのは、いじめられている本人ですが、同時に皆さんだと思います。いじめを撲滅するべく闘えるのは皆さんです。
会社のあの人の友になってあげる、クラスのあの子の友になってあげることによって。それが、いじめに立ち向かうことであり、いじめに苦しむ人の助けとなることでしょう。ちょっとランチに誘ってあげる、会社帰りの1杯に誘ってあげる、教室か学校のどこかでお昼ご飯一緒に食べてあげる、教室でひと言かけてあげる、その小さなことが、いじめに苦しむ人や友達がいないあの子にとっては、大きな助けとなるのです。
皆さんで、フーヴァーのような生き方、始めませんか。どうせ、皆さん以外に始める人はいないはずですから。この、コラムを読んでくださっている皆さん以外は、これらのことに気付きもせずに、流されるままに生きるはずです。
クラスの人気者のそばにいるのは誰でもできるし、楽です。クラスや会社のボスやいじめの中心人物に目をつけられないような過ごし方をするのが普通です。しかし、いじめられているあの人や、友達がいないあの子に近寄っていくことは、勇気がいることで、このコラムを読んでいる選ばれたあなたにしかできないことであるはずです。
金持ち、しかもハンサム(美人)で人気者の子が自分の友達なら、または、営業成績が抜群で性格も良くて、しかもリッチな人が自分の親友なら自慢できるかもしれません。でも、いじめられている子の友となってあげる、孤立しているあいつのメル友やら飲み友になってあげる。そんな粋な生き方をしてみるのも、短い人生の中で挑戦する価値のあることではないでしょうか。
自慢できるような人の友であることより、友達がいないあの子の友となる。いじめられている彼の友となる。このような選択をしませんか。人気者が、また、普通の子(人)があなたを必要とするそれ以上に、いじめられている彼女は、孤立している彼は、「友」となってくれるあなたの存在を必要とし、待っています。いじめられている子(人)を助けられるのはあなたです。自慢できる人の友であるよりも、友達がいない人の友となる。友達自慢するよりも、いじめられているその子の側に歩みよって行き友になってあげることです。
最後に映画「わたしたち」をご紹介します。今年9月に日本で公開された韓国映画です。もう映画館でも上映されていないはずですし、DVDもまだ発売されていないはずですが、ぜひ、いつかご覧いただきたい作品です。
いじめられていて友達がいない子にとって、1人でも自分に話し掛けてくれる子がいるということは、本当にうれしいものなのです。皆さんを通して、いじめで苦しむ人が減ればどんなに良いことでしょうか。味わう孤独ゆえに学校、会社へ行くことが苦しくてしょうがない人がいるはずです。皆さんのひと言、皆さんの笑顔、皆さんの思いやりある行動ゆえに、そんな彼らに笑顔が戻るならどんなに素敵でしょうか。
そんな生き方、始めませんか。すべてのいじめが撲滅されるのが難しくとも、まずは、皆さんの周りから一つ一つと孤独な人や苦しむ人がいなくなり、そんな人たちが笑顔を取り戻し、また、幸せになれますように。
次回の「百人一読」は、アメリカ合衆国第32代大統領フランクリン・ルーズベルトから、人生に必要なナビ・ガイドについてご紹介します。
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【書籍紹介】
篠原元著『100人の聖書』
本書を推薦します!
「他の追随を許さない数と挿話」
――奥山実牧師(宣教師訓練センター[MTC]所長)
「牧師の説教などに引用できて便利」
――中野雄一郎牧師(マウント・オリーブ・ミニストリーズ)
「聖書に生きた偉人たちの画廊」
――峯野龍弘牧師(ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会)
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