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聖書をメガネに

聖書をメガネに 「クリスチャン新聞」・いのちのことば社と私 宮村武夫

2017年10月21日07時40分 コラムニスト : 宮村武夫
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関連タグ:宮村武夫いのちのことば社

1967年、4年間の米国留学から帰国して間もなく、「クリスチャン新聞」の大型企画に参加するよう招かれました。参加した企画会議では、私より10前後年上の方々と、70年代を生きる教会の在り方について、互いに共鳴し合いながら心を熱くして話し合ったことを記憶しています。

その時集った方々とは、その後、1970年の日本福音主義神学会設立や、その出来事と並行するように進められた『新聖書注解』(全7巻)の働きにおいて、私自身、一番若い同労者、主の僕(しもべ)仲間(黙示録22:8、9)として歩みを共にさせていただいたのです。

その後も、書評などを中心に、依頼を受けたら原則引け受けるようにしていました。何より、いのちのことば社そのものの大枠の中で、『新聖書注解』から始まって幾つかの刊行に役割を委ねられ、それに応答する過程で訓練を受け、育てられたと自覚し、感謝しています。

そのような十数年が経過する中で、1986年、私ども家族が沖縄に移住した際、2番目の忘れがたい思い出となる恵みの経験をしたのです。

稲垣久和先生(現在、東京基督教大学教授)が当時、神学校教師をしながら「クリスチャン新聞」の働きをなさっておられました。稲垣先生は私のためにその紙面にコラム「季節の窓」を用意し、毎月文章を書く企画を立ててくださったのです。

そこで、毎月、特定の個人に実際に手紙を書き、それをコラムに掲載する方法を始め、2年間最後まで続けました。不特定多数の方々に書くのではなく、具体的な実情に即して書くのです。しかも、どなたが読んでも、その人の課題として受け入れられる普遍性を持たねばなりません。このように意識して書き続けながら、1つの文体が生まれていったのです。これは、私の沖縄での25年間の歩みにとって重い基盤となる恵みであり、それは現在にも波及していると理解します。

このような「クリスチャン新聞」との最初の出会い、あえて言えば「クリスチャン新聞」との本来の関係が生涯の宝です。

沖縄の25年の生活の中で、いのちのことば社全体との関係は、『実用聖書注解』などを中心として継続されていました。しかし、「クリスチャン新聞」との関係は最初の2年間、コラム「季節の窓」の後、次第に薄れていきました。

こうした背景の中で、あの輝ける記憶である「クリスチャン新聞」、またいのちのことば社との関係が戸惑いとなったのは、新改訳第3版の出版後のことです。

私の目からすれば、新改訳第2版に基づき書いた新聖書講解シリーズ『申命記』が、新改訳第3版の出版のため絶版の取り扱いになることは、まさに大きな戸惑いでした。この第3版出版のために、第2版を用いて書かれた書物に対する取り扱いにこだわる私の思いが、結果的には、あのような忘れがたい思い出の絆で結ばれた「クリスチャン新聞」、さらにはいのちのことば社全体との恵愛に満ちた関係を疎遠にしていったと判断します。

今にして思えば、過去や他者に対してどのような関係を持ち続けるかの課題が基盤にあったと見ます。第3版を出版しても、第2版を出した過去の事実はないことにはできない。その過去と新しい第3版との関係をどう見るのか。

さらには、新改訳が改訂されていく中で、日本聖書協会が並行してなし続けている聖書翻訳の歴史の事実をどのように理解するか。少なくとも、第3版出版によって第2版を無視したように、無視してはならないのではないかとの思いです。

私個人にとっては思いを超えた導きですが、2014年4月以来、クリスチャントゥデイの働きに直接参与する中で、あの時感じた戸惑いが明確な形で迫ってきたのです。クリスチャントゥデイの存在が『クリスチャン情報ブック』においてまったく言及されず、存在が否定されている。この事実は、否定する側にとっては何ほどのものではない。しかし、否定される側にとっては重い意味を持ちます。

このように存在を否定される側に立って、戸惑いの正体を見る思いがします。今、聖書翻訳の尊い業が並行して繰り広げられる中で、第2版を無視した第3版、クリスチャントゥデイの存在を無視した『クリスチャン情報ブック』、そして日本聖書協会の翻訳を無視した新改訳2017とつながってこないか。戸惑いはここまで来ています。

しかし、そうであればあるほど、あの30代に出会った「クリスチャン新聞」の出発の輝き、そして30代以降、言葉を刻む責任と喜びを教え、訓練してくださったいのちのことば社への感謝は不動です。

「聖なる公同の教会を信ず」との信仰告白から生まれる文章、出版される書物、その営みを貫いて、聖霊ご自身が弱い私たちの記憶力の中に生き生きとお働きくださり、神の栄光を求める気概からなされる記録、出版を覚え、希望に満たされるのです。本来の「クリスチャン新聞」・いのちのことば社、現実の「クリスチャン新聞」・いのちのことば社、そして何よりも希望の「クリスチャン新聞」・いのちのことば社。これこそ、恩師・渡辺公平先生から学んだ、「聖書をメガネに」、そうです、三位一体論的認識論の実践です。感謝。

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◇

宮村武夫

宮村武夫

(みやむら・たけお)

1939年東京深川生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部(組織神学)修了。宇都宮キリスト集会牧師、沖縄名護チャペル協力宣教師。クリスチャントゥデイ編集長兼論説主幹。(2019年8月16日死去、プロフィールは執筆当時のものです。現在はクリスチャントゥデイ名誉編集長)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:宮村武夫いのちのことば社
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