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聖書をメガネに

聖書をメガネに 故・高本康生いのちのことば社出版部長の忘れがたい思い出 宮村武夫

2017年3月25日19時24分 執筆者 : 宮村武夫
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関連タグ:いのちのことば社宮村武夫

今回、『新実用聖書注解』リニューアル版出版を伝え聞き、『実用聖書注解』出版の過程で経験した故・高本康生いのちのことば社出版部長の思い出が鮮明になり、今の生き方に勇気と励ましを与えてくれています。

当時、沖縄の地で、地域教会の牧会と、地域に建てられた神学教育機関における神学教育に従事していました。確かに、従事していたのです。しかし、それはかなり激しいそううつ状態の中で進める、いわばぎりぎりの日々でした。そのような中で、『実用聖書注解』の3人の編集者の1人として招きを受けたのです。当然、お断りしました。

ところが、高本さんが沖縄まで出向き、個人的に私の生活状態を見、その上で他の2人の編集予定者からの共労への招きの言葉を伝え、ご自身の繊細で包容力のある勧めの言葉を重ねてくださったのです。そこには、『新聖書注解』のテサロニケの注解を担当した最初の時以来の、私の小さな働きに対する信頼がにじみ出ていたのです。その信頼に支えられながら、あのような状態の中で責任を果たし得たと理解しています。人を信頼する者の真実を、私は学んだのです。今、その学びを生かす責任があります。

もう1つ、忘れられない事実があります。それは、書名の「実用」です。編集の段階で販売担当の方々からの希望として、「実用」という名称が提案されたときのことです。私は、その言葉が何か、俗な表現でいえば、安っぽいように思え、反対したのです。その当時のやりとり全部を記憶してはいません。しかし、高本さんの態度が一貫しており、何か深いものがあると実感したのを覚えています。

その時の実感は、後年、私の著作集に対して、敬愛する松谷好明先生が書いてくださった励ましの言葉により、その内実を測り知るのです。松谷先生は、身に余る以下の言葉を書いてくださいました。

「イギリスに始まるピューリタニズムは、その実践的神学(practical divinity)で知られます。同じく主の教会に仕えることを目指していますが、学問的神学とは異なり実践的神学は、聖書の光に照らして敬虔なキリスト者の生を形成することを直接の目的とします。宮村先生の神学はそのような実践的神学の現代版として、私たちを信仰的に養い導くものです」

今、私にとって高本さんの存在と松谷先生の言葉が混然一体となって、クリスチャントゥデイの一員としていかに生きるか、何をどのように書くべきか、指し示していると理解しているのです。感謝。

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◇

宮村武夫

宮村武夫

(みやむら・たけお)

1939年東京深川生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部(組織神学)修了。宇都宮キリスト集会牧師、沖縄名護チャペル協力宣教師。クリスチャントゥデイ編集長兼論説主幹。(2019年8月16日死去、プロフィールは執筆当時のものです。現在はクリスチャントゥデイ名誉編集長)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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