「私は忘れられていない」「神様は私の名前を知っている」―エイズや内戦で親を失ったウガンダの子どもたちで結成された聖歌隊「ワトト・チルドレンズ・クワイア」の元気あふれる賛美の歌声が、聴衆約400人の詰め掛けかける満席の会場に響き渡った。
東京都港区の赤坂区民ホールで25日、ウガンダの孤児たちによる聖歌隊「ワトト・チルドレンズ・クワイア」の初来日コンサートが開かれた。同聖歌隊は、世界各地でツアーを展開するほかブッシュ米大統領や英国のエリザベス女王の前でも公演し、話題を呼んでいる。
ワトト・チルドレンズ・クワイヤで歌う孤児たちはみな、カナダ人宣教師ゲアリー・スキナー牧師夫妻によって始められた支援団体「ワトト・チャイルドケア・ミニストリー」(以下、ワトト)で養われている子どもたち。現地のワトトの村には、各国のボランティアチームの建設した家々があり、一家につき8人の子どもたちが母親役の女性とともに生活している。子どもたちがウガンダの将来を担うリーダーへと成長するために必要な教育、安全な居住空間、医療施設、愛情いっぱいの家庭が用意されている。
だが、聖歌隊のメンバーはみな、言葉にできないほどの暗い過去を持っている。
「この世に生きている価値はあるのだろうか」―交通事故で父親を、立て続けに母親をエイズで亡くし、本当に一人ぼっちになったときにジョイはそう思った。おばに引き取られての生活となるが、ジョイを引き取ったおばにも自分の子どもがいるため、ジョイを育てる事が困難になり、ある日、ジョイをワトトに連れて行った。「そこで、愛する人が与えられました」と語るジョイの顔に満面の笑みがこぼれた。「人生は、いいものです」。
泣くことにも疲れ、絶望の中にいた子どもたちがワトトで希望を見つけ出し、はっきりとした将来の夢に向かって走り出している。未来のウガンダのリーダーとなり、ウガンダをもっといい場所にすること、それが聖歌隊のメンバー全員の願いだ。
スキナー牧師は1984年に現地でワトトを立ち上げ、このクワイア世界ツアーは94年に始まった。 いまでは1700人以上の子どもたちをワトト村で養っている。
ツアーに同行中のスキナー牧師は舞台に立ち、「できる限り多くの傷ついた子どもたちを救いたい」と支援への参加を直接呼びかけた。
ワトトへの支援、ワトトに関わるその他の問い合わせは、ワトト・ジャパン東京事務局(メール:[email protected])まで。ワトト村への寄付金の送付先は、「ワトト TOKYO 委員会」(郵便振替 00100‐0‐543750)。