全米の教会が、米大統領選の投票日である11月8日に、「分裂」の空気を打破しようと、教派を超えて一斉に聖餐式を執り行う。
「投票日の聖餐式」(EDC)として知られるこの取り組みは、初めて行われた2012年には、多様な教派から約900教会が参加した。
EDCのウェブサイトには、「この選挙のもたらす憎悪や苦しみが、ここにきて最高(最低)に達している。分裂の空気が私たちの社会や周囲に、さらには教会にまで入り込んできている」とある。さらに、「今年は特に、私たちの真の希望がどこにあるのかを思い出さなければならない。私たちは一致と和解の聖なる行動に参加する必要がある。平和の君、イエスに対する忠誠を宣言する必要がある」とある。
「平和と正義を守るネットワーク」のジェイソン・ブーン氏は、クリスチャンポストに、「教会は投票日においても教会であり、キリストへの忠誠を思い、行い、感謝し、宣言するために主の食卓に集う」礼拝にしたいと語った。
「EDCは、米国のクリスチャンが、各政党の戦略やイデオロギーに左右され、イエスに対する思いと忠誠に動かされていないという懸念から、2012年に始まったものです」とブーン氏。「今回の選挙運動がヒートアップし始めるにつれて、全米から再度EDCを行うかどうかの問い合わせがありました。今回の選挙の動きを2012年の時と比べてみて、EDCを再度行うことを決定するのは簡単なことでした」と話した。
ブーン氏によると、これまでに100余りの教会が参加登録しており(10月18日現在)、11月8日に向けて参加教会数は増えているという。
ニューヨーク州イーストオーロラにある聖マッテヤ監督教会(米国聖公会)は、12年のEDCにも参加した。同教会のアン・M・ティルマン牧師は、「今年は地元の長老教会の牧師に説教をお願いしました。これは、あらゆるコミュニティーに対して門戸を開く努力の一環です。希望と癒やしの意味を伝えること、そしてキリストの生きた体にある一致と友情の意味を伝えることを目指して、この聖餐式を行うのです」と語った。
「私たちは皆、神に愛されている子どもであり、たとえ考えを異にする者であったとしても、立候補している候補者のために祈る必要があることを覚え、投票に至るまでの数週間、信徒たちが心を合わせて祈れるように努力しています」
「私は投票日の聖餐式が、イエス・キリストがただ1人の救い主で、私たちの心を1つにし、主の愛によって1つに結び合わされ、どんな政治的立場の候補者であれ、主なる神に委ねることしかできないことを知る時としたいと願っているのです」
バージニア州ガムスプリングにあるガムスプリング合同メソジスト教会は、今年初めてEDCに参加する。同教会のローレン・ローベンホッファー牧師は、彼女がかつて所属していたボンエア合同メソジスト教会(同州リッチモンド)で、12年のEDCを経験しているという。
「その礼拝では、当時の対立と混沌状態の中で、神の臨在を本当に強く感じることができました。私が現在遣わされているガムスプリング合同メソジスト教会で聖餐式を行うことに決めたのは、2012年の意義ある礼拝の経験があるからです」
ローベンホッファー牧師は、「11月8日の礼拝に参加する人々には、誰が大統領に選ばれたとしても、米国も全世界も神の御手の中にあることを信じ続け」てほしいと語った。
「私たちの国は深く分断されています。怒りと辛辣(しんらつ)な言葉が政界のあちこちから聞こえてきます。私たちが政治的にどの立場に立とうと、教会はキリストの体の一部であることを自覚する方法を必要としています」
「イエスが食卓に招いたのは、さまざまな背景を持つ弟子たちでした。漁師、大工、熱心党員がいましたが、共にパンを割くときに彼らは1つだったのです」