労働における聖霊の働き・その2
聖霊は人間に新生を与えて新しくし、きよめ、導き、人間の内に住み、人間の心の板に書き記す。聖霊の導きのもとで、魂と体を用いて労働を行う具体的な信仰生活を通して、また労働によって信仰の階段を登るということを通して、私たちは魂の部分に聖霊の実を実らせていく、すなわち心の中にキリストの形が造られていく〔11〕。
信仰生活が実を結ぶのは、このような現実の中においてである。聖霊の実は、愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実、柔和、自制などの神のご性質が人間の人格における品性として表れるものであり(ガラテヤ5:22~23参照)、魂の部分に結果として表れてくるものである。そして全てのキリスト者が皆同じものを結ぶようになる。聖霊の実は人格に関与する、そしてこの人格が社会で主の働きを回復し、また前進させる。回復された労働はまた逆に人格の形成を助ける〔10〕。労働の場においては、勤勉さ、誠実さを有することは大変重要である。
(ハ)機能論的な労働に対する聖霊の働き(召しにおける聖霊の働き)
人間が神の召しに応じ、神の働きを進めていく中で聖霊に満たされるとき、魂の部分に力が与えられ、個性、才能、能力が大きく開花するとともに、神の使命を達成するための新しい賜物が、神から一方的に無償で与えられる、Ⅰペテロ4:10「それぞれが賜物を受けているのですから、神のさまざまな恵みの良い管理者として、その賜物を用いて、互いに仕え合いなさい」参照、その他、ローマ1:11参照。また、神は労働に必要な熟練をも与えられる。
労働の世界において、キリスト者たちは皆キリストの体の部分を構成しており〔2〕、一人一人が皆違う聖霊の賜物を手段として与えられる。聖霊の賜物は本来、教会を建て上げるために与えられるものであるが、礼拝は教会活動の重要な要素であり、労働の本来的意味も礼拝であるので、労働において神の栄光を表そうとするときに、聖霊の賜物が与えられるのは自然である。
出エジプト記35:30~35に「モーセはイスラエル人に言った。『見よ。主はユダ部族のフルの子であるウリの子ベツァルエルを名ざして召し出し、彼に、知恵と英知と知識とあらゆる仕事において、神の霊を満たされた。それは彼が金や銀や青銅の細工を巧みに設計し、はめ込みの宝石を彫刻し、木を彫刻し、あらゆる設計的な仕事をさせるためである。また、彼の心に人を教える力を授けられた。彼とダン部族のアヒサマクの子オホリアブとに、そうされた。主は彼らをすぐれた知恵で満たされた。それは彼らが、あらゆる仕事と巧みな設計をなす者として、彫刻する者、設計する者、および、青色、紫色、緋色の撚り糸や亜麻布で刺繍する者、また機織りする者の仕事を成し遂げるためである』」とあるように、神は人に賜物として力を与え、訓練の機会を備え、時が来るとそれを用いて携わるべき務めに召してくださる〔10〕。ただし、賜物は人を生かすために与えられるものであり、それを単なる能力に置き換えることはふさわしいことではない。
パウロはこの聖霊の特別な働きである賜物を、再生の第三の要素、あるいは聖霊の第三の賜物と位置づけ、義認、聖化に次ぐ聖霊の第三の働きと見なした。そして教え、管理、奉仕、寄付、慈善、勧めなどを含むことを明らかにしている〔12〕。
賜物としては、いろいろなものが挙げられている、Ⅰコリント12:4「さて、賜物にはいろいろの種類がありますが、御霊は同じ御霊です」参照。およびローマ12:6a「私たちは、与えられた恵みに従って、異なった賜物を持っている」参照。職場で効率的に労働をすることができる聖霊の賜物としては、知恵、知識、技能、リーダーシップ、サーバントフッド、スチュワードシップ、企画力、創造力、洞察力、マネジメント力(問題解決力、判断力、決断力を含む)などがある〔13〕。
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(参考並びに引用資料)
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門谷晥一(かどたに・かんいち)
1943年生まれ。東京大学工学部大学院修士課程卒業。米国ミネソタ州立大学工学部大学院にてPh.D.(工学博士)取得。小松製作所研究本部首席技監(役員待遇理事)などを歴任。2006年、関西聖書学院本科卒業。神奈川県厚木市にて妻と共に自宅にて教会の開拓開始。アガペコミュニティーチャーチ牧師。著書に『ビジネスマンから牧師への祝福された道―今、見えてきた大切なこと―』(イーグレープ)。