終戦直後の1945年に射殺された戸田帯刀(たてわき)神父(1898〜1945)の歩みを学ぶ講演会が10日、カトリック甲府教会(山梨県甲府市)で開催される。講師は、戸田神父の射殺事件を長年にわたって追いかけてきた元毎日新聞社甲府支局長で経済部記者の佐々木宏人氏(カトリック荻窪教会員)。特定秘密保護法成立など、「平和」を取り巻く情勢が著しく変化する中、戦中に反戦を唱えた戸田神父の歩みに歴史の光を当てる。
戸田神父は、山梨県東山梨郡の寒村出身。現在放送中のNHKドラマ「花子とアン」の主人公である村岡花子よりも5歳年下だ。旧制日川中(同県)を中退し、開成中(東京都)に入学。17歳でカトリックの洗礼を受け、ローマへ留学。1941年に札幌教区長に着任した。
開戦後の42年3月、「米英を相手に戦争したら、どうなるかわからない」と同僚の神父に言ったとして、旧軍刑法違反で逮捕された。裁判では無罪になったが、特高警察による監視は続いたという。44年には横浜教区長に転任。しかし、終戦3日後の45年8月18日、横浜市の保土ヶ谷教会内で何者かに頭を撃たれ、血まみれの死体で発見された。
戸田神父は殺害される2日前、単身で軍に出向き、接収された教会などの返還を求めていた。その際、軍から激しい怒りを買ったという。そうした経緯と目撃情報や遺留品などから、憲兵が戸田神父を射殺したと見られている。しかし、事件は未解決のままだ。
講演会は5月10日(土)午後1時半から同3時半まで。会場はカトリック甲府教会(山梨県甲府市中央2丁目7−10)のサンタルチア講堂。入場無料。同教会への交通は、中央3丁目バス停(印傳屋前)から徒歩5分。教会庭に駐車場(無料、50台)あり。問い合せは、同教会(電話:090・8031・9608、担当:木村輝三)まで。詳細はチラシを参照。