ルカの福音書―その目的
ルカ1章1~7節
[1]序
今日から、ルカの福音書を読み始めます。
[2]ルカの福音書―その目的
(1)ルカ1章1~4節 使徒の働き1章1、2節
この箇所の役割、ルカの福音書の目的を明らかにするため。ヨハネの福音書の場合、ヨハネの福音書20章31節、「しかし、これらのことが書かれたのは、イエスが神の子キリストであることを、あなたがたが信じるため、また、あなたがたが信じて、イエスの御名によっていのちを得るためである」。
(2)何が―ルカの福音書の内容
①「私たちの間ですでに確信されている出来事」(1節)。福音とは、良きニュース、神の救いの出来事。②使徒の働き1章1、2節、「イエスが行ない始め、教え始められたすべてのことについて書き、お選びになった使徒たちに聖霊によって命じてから、天に上げられた日のことにまで」。
(3)誰が書いているのか―「多くの人が」「私も」
①「多くの人が」。「初めからの目撃者で、みことばに仕える者となった人々が、私たちに伝えたそのとおりを」→「多くの人が記事にまとめて書き上げようと、すでに試みております」。②「私も」。「すべてのことを初めから綿密に調べております」→「順序を立てて書く」。
(4)誰に書いているのか
「尊敬するテオピロ殿」
(5)目的は
「すでに教えを受けられた事がらが正確な事実であることを、よくわかっていただきたいと存じます」。①教えと信仰、②事実と信仰、③「よくわかる」と信仰。
[3]ザカリヤとエリザベツ
(1)5節以下で、まず最初に一組みの夫妻の姿を伝えていることに注意したいのです。
(2)「ふたりとももう年をとっていた」。一、二章の洗礼者ヨハネと主イエスの誕生を伝える記事において、このふたりと共に、老シメオン(2章25節)、84歳のアンナ(25節36節)の姿を描いています。
[4]結び
(1)福音とは、「私の福音に言うとおり、ダビデの子孫として生まれ、死者の中からよみがえったイエス・キリストを、いつも思っていなさい」(Ⅱテモテ2章8節)。
(2)「尊敬するテオピロ殿」。一人のため。一人を通してどの人にも。誰にでも開かれているルカの福音書を、私たち一人一人が個人的に受け止めていく必要。
(3)一組みの夫妻、年輩の人の役割。
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。