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「ことば」が通じる喜び―言葉から「ことば」へ

2012年12月26日12時37分
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祝祷を捧げる北川一明牧師。2012年12月23日、東京都港区で。+
明治学院クリスマス音楽礼拝の様子。2012年12月23日、東京都港区で。+
明治学院クリスマス音楽礼拝の様子。2012年12月23日、東京都港区で。+
明治学院キャンパスのクリスマスイルミネーション。2012年12月23日、東京都港区で。+
 23日明治学院白金チャペル(東京都港区)で行われたクリスマス音楽礼拝で、同学院牧師の北川一明氏はヨハネ福音書1章と創世記11章を対比して「ことばが肉となった」クリスマスの恵みについてメッセージを伝えた。

 同日は地域に住む多数の人々がクリスマス音楽礼拝に訪れた。北川氏は「普段キリスト教会の礼拝を知らない方のご来場をことのほか主は喜んでおられるだろう。この世の物理法則とは別の次元の、人間が生きる根源を確認する場であるのが礼拝。聖なるものとの出会いを感じていただきたい」と歓迎のメッセージを伝えた。

 北川氏は社会生活における「言葉」を用いたコミュニケーションについて、「外国語が相手に伝わったら、すごく嬉しい。こちらの思いが相手に伝わり、相手の思いが返ってきた喜びがある。自分の思いが伝わる人が誰もいなければ、何のために生きているのかがわからない」と伝えた。

 世代間における価値観の隔たりについて、「テレビを観ながら育った世代が大人になったとき、それより上の世代の人たちと価値観が変わり、日本語は通じても、思いが通じなくなった。子供の幸せを心から願っているお姑さんが、お嫁さんに感じる思いも同じではないか。一番大切にすべき人に思いが伝わらないとき、私たちはひとりぼっちになってしまう。『ことば』が大切な人のところにきちんと届いているでしょうか」と問いかけた。


クリスマスの喜びは、『ことば』が回復した喜び

 その上で北川氏は、「クリスマスの喜びとは、『ことば』が回復した喜び。大切な『ことば』をすべての人が取り戻した喜びである」と伝えた。

 創世記11章のバベルの塔については、「人間達は、『有名になろう。全地に散らされることのないようにしよう』として、バベルの塔を建設しようとした。人気者になりたい、お金を稼ぎたいわけではなく、『ひとりぼっち』になるのは嫌だから、コストをかけ、最新の技術を駆使して、経済と技術力で安心と安全を手に入れ、孤独から逃れようとした」と説いた。

 さらに北川氏は現在の国際情勢について「聖書で昔から言われていたことが、キリスト教会でなくても言えるようになった。孤独から避けるために、自分の力に頼ることで、かえって孤独になっている。軍事力で同盟関係を結んでも、際限がなく結局は孤独になってしまう。軍事力で同盟関係を結ぶには、仮想敵国が存在しなければならない。バベルの塔を築いた人間たちは、動物と同じ仕方で、自分の欲求を大切にした結果、相手に通じる『ことば』を失った」と説いた。


「ことば」と言葉の違いとは? 
 
 北川氏は、ことばと言葉の違いについて「ヨハネ福音書の『ことば』は葉の字がついている『言葉』ではない。自分を守ろうと、ひとりぼっちになるまいとして声を張り上げる論理や理屈では思いは伝わらない。そのようになって人類は全地に散らされた。福音書では葉の字がついていない『ことば』が肉となって私たちの間に宿られたとある。論理や理屈ではない、思いを伝えるべき『ことば』とは、口で話すおしゃべりではなく、もっと大きな意味を持っている」と説いた。

 初めにあった「ことば」について「神の意思であり理である。その『ことば』が初めにあり、『ことば』は神であった。万物は『ことば』によって成った。宇宙ができた根本原理も『ことば』による。完全に調和の取れた正しい方向性にあったから、宇宙ができ、人間も心を持って生まれた。ひとりひとりそれぞれの思い、気持ちを持って生きている」と説いた。

 北川氏は「正しい方向性」について「理屈や論理でなされるのではなく、聖なる尊い調和による。聖なるものは、世俗にはない。この世の物理法則とは別の次元のもの。聖なる尊い調和は、理屈の言葉では知ることができない。 聖なる尊い調和の世界を見つけることに現実の世界で一生懸命にならなければならないほど見失われてきた」と述べ、クリスマスの奇跡について、「その聖なる尊い調和を具体的に見ることができるために、『ことば』が人となった奇跡であった。クリスマスはイエスの誕生を祝う。人となられた神の奇跡を喜ぶ日である。私たちに分かる仕方で、具体的な人間になられた。キリストに真剣に目を注ぐなら、私たちは失ったことばを取り戻せる。宇宙の最初からあった聖なる尊い、正しい方向性に戻ることができる」と説いた。

この世の力の法則と聖なる尊い調和は逆
 
 北川氏はこの世の力の法則と聖なる尊い調和は逆であるとし、イエス・キリストの生誕について「人の情けに頼らなければ、泊まる場所もないような人たちの間に生まれた弱い、ふつうの肉体に、学者(東方の三博士)や羊飼いらは失われた何か尊いものを感じ、宝を捧げ礼拝した。神を賛美した。聖なるものは、理屈の言葉では説明できない。学者は導きを正しく受け取った。だから飼い葉桶の幼子を救い主として礼拝することができた。聖なるものとの出会いを体験してから、自分を守るために声を荒げて、口先で論理を捲くし立て、返って孤独になる生き方から解放された。今日私たちも信仰の思いをもって、建てられ守られてきた学校のチャペルで、理屈の言葉ではないもので聖なるものと出会うことができた。神が特別な愛と祝福をもって招いてくださったものと信じている。聖なるものを心を研ぎ澄ませて受け取れば、本来の生き方に取り戻される。理屈ではない、思いを伝える聖なることばを取り戻すことができる。おだやかな人の心を揺り動かす愛のことばを一人一人取り戻すことができるのである」と説いた。

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