4日から29日までスイスボセイ・エキュメニカル大学にて「異宗教間のコミュニティを構築-平和のための宗教」というテーマで異宗教理解のための夏期コースが開講されている。
同コースで開催されている講座において、多くの今日の社会に生きる人々が宗教を平和のために存在するものではなく、争いの根源にあるものとして認識してしまっていることが指摘されている。諸宗教コンサルテーションズ国際ユダヤ委員会のラビであるリチャード・マーカー氏は「私たち宗教指導者たちの手は清くはありません。そのためあまりに多くの国家と政府が、宗教を共通の価値観に対立する分裂の火種のように見なしてしまっています」と今日における宗教と平和に関する問題点を指摘した。
同大学による異宗教理解のための夏季コースは今年で5年目を迎えており、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の宗教背景を有する学生たちが共に宗教について学び、互いの神聖な空間や文化への影響、霊性や世界観などの分かち合いが行われている。
今学期の学生数は23名でうち14名が女性、9名が男性となっている。宗教別では10名がキリスト教徒、7名がイスラム教徒、6名がユダヤ教徒となっている。南米、東西ヨーロッパ、中東、アジアおよびオーストラリアと世界各地からスイスに集い、うち3名はイスラエルから、他の3名はパレスチナから来ているという。
犯罪学と国際政治学を専攻するイスラエルから来たダニャル・アンテビさんは、彼女の兄が考古学者で、イスラエルに関するプレゼンテーションを世界各地で行っており、異なる宗教間にある人々の関係性や多様な国々がイスラエルについてどのように思っているか関心を持っており、常に様々な国の人々と会う機会を模索している姿に影響を受けて今夏このコースに参加することを決めたという。ボセイでの一週間について彼女は「多様な文化を代表する人々と相互に対話することができる素晴らしい機会だと思います」と述べている。
スウェーデンの教会牧師からこのコースの話を聞いて参加したシャルロット・リンディさんは中学校卒業後、中国や東南アジア、中東などに好奇心旺盛にバックパッカーをしながら旅行を続けてきたという。 彼女は「異宗教の人々との関係性を通じて自分の信じる宗教についてより深く学ぶ事ができればと思っています。そして私が自分の教会で学んできたことと他の人たちが学んできたことを分かち合うことで、そこから得られた経験をスウェーデンに帰ったら地元の人々に伝える事ができればと思っています」と述べている。彼女は世界を旅する中で、イスラエルとパレスチナを訪れたときに異宗教間の活動に興味を持ち始め、宗教は互いに肩を並べあって存在してはいるが、まだ本当に共に協働し合っている姿は実現できていないと思うに至ったという。
オーストラリア出身でシリアのダマスカスでイスラム教の教えと異宗教間の対話に関する研究を行ってきたモハメド・アザリさんは、ボセイの夏期コースについて「異宗教の人々と出会える素晴らしい機会です。私たち自身の宗教のコミュニティを形成していくとともに、より偉大な出来事の達成のための第一段階に踏み出すことができればと思います。私たちは信仰や祈りによってどのように平和を得ることができるのでしょうか。互いの人間性を知ることができることで、互いに尊敬できるようになっていくでしょう。このような異宗教間の対話を通して、異宗教に対する寛容性を身につけていくことができるのではないでしょうか。互いに知ることが最善の方法であり、異宗教であるからといって互いを知ろうとしないことが争いの原因となっているのだと思います」と述べた。
ボセイ・エキュメニカル大学2011年夏季コースのアカデミック・コーディネータを務めるオデール・ペドロソ・マテウス教授は、このコースの開講について「世界がより平和に近い存在になっていくための難しい問題や解決の方法を対話によって模索していくことで、それぞれの文化的背景を持つコミュニティを励ましていき、摩擦を引き起こすのではなく新たな出会いを促進していく良い機会となるだろう」と述べている。
エキュメニカル大学には様々な宗教が規定する規定食や礼拝時間などに配慮しており、それぞれの宗教のための祈りの場所も設けている。同大学は1946年に世界教会協議会(WCC)の国際的な異宗教間の出会い・対話・関係構築の中心地となることを目指して設立された。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
救世軍清瀬病院が来年3月末で閉院、診療は今年11月下旬めどに終了
-
いのちの言葉聖書学校が卒業式、5人が新たな歩みへ
-
Gゼロ時代の津波石碑(10)【久保有政氏に聞く】仏教とキリスト教のつながり(前半) 山崎純二
-
韓国異端「新天地」の李萬熙総会長を逮捕、信者5万6千人を政党に強制入党させた疑い
-
「ヘブライズムが世界を救う」 ジーザス・ジューン・フェスティバル2026、東京・新宿で6月29日
-
日ごとのパンを求めて―ジョージ・ミュラーの生涯(6)フランケの「孤児の家」
-
旧統一協会の解散命令が確定、最高裁「必要でやむを得ない」 特別抗告を棄却
-
日本キリスト教海外医療協力会、新会長に柳澤理子氏 椙山女学園大学教授
-
神学の限界と突破口(5)第1章 主な論争と解決─「聖霊論」の論争 三谷和司
-
ワールドミッションレポート(6月24日):メキシコ カルテルと伝統の狭間で─暴力に耐えるキリストの弟子たち
-
国旗損壊罪の創設に反対、日本キリスト教協議会が声明
-
救世軍清瀬病院が来年3月末で閉院、診療は今年11月下旬めどに終了
-
Gゼロ時代の津波石碑(10)【久保有政氏に聞く】仏教とキリスト教のつながり(前半) 山崎純二
-
旧統一協会の解散命令が確定、最高裁「必要でやむを得ない」 特別抗告を棄却
-
聖書原語への招き─霊に燃え、主に仕えるために(11)パン種の譬えで示す神の国 白畑司
-
神学の限界と突破口(5)第1章 主な論争と解決─「聖霊論」の論争 三谷和司
-
両足に6本の指持って生まれた少年、キリスト教慈善団体の医療支援受け走れるように
-
トランプ氏のイラン戦争と移民政策、福音派で評価二分 否定的回答が半数超える
-
いのちの言葉聖書学校が卒業式、5人が新たな歩みへ
-
「世界難民の日」 ワールド・ビジョンが8カ国で調査 子ども守る「自立」の重要性訴え
-
国旗損壊罪の創設に反対、日本キリスト教協議会が声明
-
米メガチャーチがビーチで洗礼式、過去最多の2552人が受洗
-
着工140年以上のサグラダ・ファミリア、主塔「イエスの塔」完成 NHKが特番
-
「聴く隣人のいるところ」 キリスト教高校の1年間が伝える「自由とは何か」問う大切さ
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(250)未信者とセカンドチャンスに潜む大きな課題 広田信也
-
神学の限界と突破口(4)第1章 主な論争と解決─「贖罪論」の論争 三谷和司
-
戦後のキリスト教ブームの中で生まれた口語訳聖書、今にも生きるキリシタン時代の聖書訳
-
聖書全巻の翻訳、800言語で完成 飛躍的に加速する聖書翻訳
-
「祈りなくしてリバイバルは起こらない」 日本リバイバル同盟が創立30周年
-
「ありがとう」か「あたりまえ」か 佐々木満男

















