国際宣教団体によると、ブラジルの福音主義キリスト教徒の人口は今年中に5,740万人に到達する見通しであるという。ブラジルの福音主義キリスト教徒の増加率は既に年率7.42パーセントに達しているという。
国際宣教団体「SEPAL」の調査によると、このままの増加率でいけば10年以内の間に同国の人口の半数以上が福音主義キリスト教徒となることが期待されるという。
SEPALリサーチャーのルイス・アンドレ・ブルネット氏は米クリスチャンポスト紙に対し「2020年までにブラジルの人口の52パーセントにあたる1億930万人が福音主義キリスト教徒となると信じています」と語った。
ブルネット氏は1990年から2000年の福音主義キリスト教徒の増加率を調査し、その増加率に基づいて2020年までの福音主義キリスト教徒増加率を予測したという。2010年にはブラジルで広く読まれている情報誌「エポカ」が同国福音主義キリスト教徒の増加率について発表した。同誌では2人の神学者と人類学者がピックアップされており、両氏ともに福音主義キリスト教徒が、ブラジル国民の全生活への影響力を増していることに同意し、福音主義キリスト教徒の存在力が同国のアルコール依存症の患者数を減少させる一方、就学率を増加させ、家屋損傷件数が減少するのに貢献していると認めた。
ブルネット氏は、クリスチャンはキリスト教徒の増加率という数字的な問題を超えて考える必要があるとし、「リバイバルはただ単に大多数の人々がキリスト教に改宗することで生じるのではありません。大人になって自分の意思でキリスト教徒となった人々の考えが社会的にどのように深い変化を与えるかにかかっているのです」と述べた。
同氏によると、積極的な福音主義キリスト教のアウトリーチ活動、より柔軟な教会規則の適用、ブラジル社会がキリスト教的な生活を積極的に受け入れていること、またブラジル国内中産階級の人々の影響力が強まっていることが福音主義キリスト教徒の増加に寄与してきたという。
一方でブラジル東北部では福音主義キリスト教徒の影響力は他地域と比べ著しく弱いことも指摘した。同氏によると、ブラジル東北部は二つの地域に分類されるという。ひとつは海岸部の都会化された環境にある地域で福音主義キリスト教徒数は緩やかな増加を示している地域である。一方もう一つの地域が田舎の地域で、福音主義キリスト教徒数は地方人口の1%を超えることがない状態にあるという。ブルネット氏は、「同地域ではローマカトリック教徒が伝統的に根付いているほか、神秘主義の影響も強い。さらに道路状態が悪く、メディアがアクセスするには困難な環境にあることが福音主義キリスト教徒の伝道活動を阻害している」と述べている。
SEPALのケーススタディによると、ブラジルの都市キンゼ・デ・ノヴェンブロでの福音主義キリスト教徒の割合は80・4パーセントである一方、隣接にある街アルトアレグレでの福音主義キリスト教徒の割合は0・28パーセントでしかないという。ブルネット氏は「もっとも福音化された都市が最も福音化されていない街に隣接しています。ブラジルのキリスト教界ではリーダーシップの欠如している地域が多く、そのような場合神学や教会論・宣教論に関する方向性が失われてしまいます。プロテスタントのキリスト教徒が多数を占める国で良く見られるように、ブラジルも経済が活性化して物質的に豊かになれば、キリスト教指導者たちに『実用主義』の誘惑が訪れることが懸念されています。ブラジルの中産階級の人口は来年2倍に増えると予想されています。ブラジルが豊かになるにつれ、同国のキリスト教指導者たちが『実用主義』に逸れて神学が間違った方向へ導かれてしまうことを懸念しています。もし『実用主義』に流されることがなかったとしても、キリスト教福音主義は『ブラジル国民の表面的な生活』を克服する必要があるでしょう。今日のブラジル福音主義キリスト教徒の中にも表面的な信仰が見られます。このような傾向が今後数年間続き、『信仰的な生活』と『世俗的な生活』の二重の側面を見せるようになるでしょう。これは今日にもすでに生じていることではありますが。今日のブラジルで見られるようになってきた自己中心や個人主義は宗教的な生活の中にも見られるようになってきています。一部のキリスト者の中には隣人に懸念を示し、互いに言葉を掛け合う人も見られますが、はっきり言って大部分のキリスト教徒は自身の豊かな生活だけを気にかけて生活しているような状態であると言わざるを得ません」と述べた。
SEPALリサーチャーらは福音主義キリスト教徒の増加率の予想を確認するため、IBGE(ブラジル地理統計院)による2010国勢調査の調査結果を待っている。またそれと同時にSEPALは古いデータと新しいデータを比較して新たな宣教アウトリーチマップを作成する予定であるという。ブルネット氏はブラジルの福音主義キリスト教徒の未来は明るいとし「私たちはブラジルでのこの変化がまさにキリストの福音の教えに沿って成されることができるために祈る必要があります」と述べた。