今年のノーベル医学生理学賞受賞者が世界初の体外受精児を誕生させた英国ケンブリッジ大学名誉教授のロバート・エドワーズ氏(85)に決まったことを受けて、ローマ教皇庁(バチカン)で生命倫理問題を担当する生命アカデミー委員のコロンボ氏は4日、「深刻な道徳的疑問を引き起こす」と批判した。ANSA通信が伝えた。
体外受精は採取した卵子と精子を女性の体外で受精させた上、受精卵を女性の子宮に戻して妊娠させるというもので、エドワーズ氏は1978年7月25日に世界初の体外受精児を誕生させた。それ以降、体外受精によって生まれた子どもの数は約400万人に上る。
バチカンは受精卵の段階で「人間」とみなす考えを採っており、受精卵の中から最適なものだけを選んで子宮に戻し残りを捨てる体外受精に反対。コロンボ氏はエドワーズ氏の研究を「重要な科学的業績」と評価しつつも、「受精卵の段階で失われた多くの命を忘れることはできない」と指摘した。