Skip to main content
2025年10月30日19時09分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
イエス伝

「イエス伝」(36)・・・負けを認めたイエス 平野耕一牧師

2010年7月15日11時09分
  • ツイート
印刷
関連タグ:平野耕一

これまで二人の女性に向き合ったイエスの姿を観察してきた。ベタニアのマリヤはイスラエル人、サマリヤの女はイスラエル人と異邦人の混血。今日テーマにするカナンの女は異邦人、それも歴史的にイスラエルを敵視し争ってきた民なのだ。

イエスは、この時一度だけイスラエルの地を離れたのだが、それは宣教のためではなく、弟子たちを十字架への道を歩むために備えるためであった。イスラエルの地ではイエスの知名度が高くて、人々に囲まれることが多く、落ち着いた時間を弟子たちと過ごせないからであった。ところが、邪魔が入る。

カナンの女は、悪霊につかれて苦しんでいる自分の娘を助けてもらおうとイエスに悲痛な叫び声を上げた。「主よ。ダビデの子よ。私をあわれんでください。娘が、ひどく悪霊につかれているのです」。

ところが、どんなに大声で叫び続けても、イエスは彼女の訴えを無視し続けた。たまらなくなった弟子たちは「助けてあげてください。そうしないなら、あの女を追いかえしてください」と言ったが、イエスは「わたしは、イスラエルの家の滅びた羊以外のところには遣わされていない」と、きっぱり言い放なった。冷たい拒絶の言葉だ。

しかし、弟子たちに返答する中で一瞬イエスの足が止まった。この女はその一瞬の隙を見逃さずイエスの前に来て、「主よ。私を助けてください」と懇願する。

すると、背筋に寒気が走るような言葉がイエスの口から発せられます。「子どもたちのパンを取り上げて、子犬に投げてあげるのはよくない」。

私たちは、これらのイエスの言葉がいつもとあまりにも違うので、耳を疑う。イエスはこの女に対してあまりにも意地悪な言葉を発しているではないか。

まずは、この女の叫びを聞こえないふりをして何も答えない。

次に、イスラエル人以外は恵みの対象外と言わんばかり、人種偏見もはなはだしい。

次に、あなたの娘は子犬と言う。これほど人を馬鹿にしたイエスは見たことがない。

あなたなら、どのレベルでつまずきますか。無視されて?イスラエル人でなければだめと言われて?子犬と言われて?

ところが、この女はつまずくどころか、ますますイエスに言い迫って「主よ。そのとおりです。ただ、子犬でも主人の食卓から落ちるパンくずはいただきます」と答えた。この女にとって自分が不快になる、傷つく、馬鹿にされることなどは、どうでもよかった。娘の癒しだけが大切であった。唯一のチャンスだ。この時を逃せば、イエスは自国へと帰ってしまう。自分のすべてをイエスにぶつけた。

この言葉でイエスはギャフンと来た。イエスの敗北である。返す言葉がなかった。女の勝ちだ。イエスは、彼女の願いが応えられるまで決して後に引かない信仰を見た。

イエスは「ああ、あなたの信仰はりっぱです。その願いどおりになるように。」イエスは敗北を認めた。そして、娘は癒されたのだ。

イエスについて知らなければならないことがある。彼は私たちが期待したとおりに語ったり動いたりしないということだ。彼は私たちの予測を裏切るのだ。

サマリヤの女に語ったとき、彼女はイエスの親切さに驚いた。マリヤに対しては繊細極まりなく、その悲しみに涙を流した。しかし、イエスがいつも同じように振舞うことを期待すべきではない。イエスの態度は一人一人に対し、状況によって違うのだ。ここでは「こんなに冷たく意地悪なイエス」と思う。

しかし、一見「こんなに冷たく意地悪なイエス」は彼女の信仰の極みを引き出したのだ。「ああ」というのは、イエスの驚きを示している。「あなたの信仰はりっぱです」。イエスは、だれにこれほどの褒め言葉を与えただろうか。私が思い出す人はたった一人ローマの百人隊長だけだ。「これほどの信仰はイスラエルのどこでも見たことがない」。

いつまでも続くものは三つしかない。信仰と希望と愛だけだ。イエスは一見、この女の心を傷つけ続けているように見えるが、最終的に永遠に価値ある信仰を引き出したのだ。

私はアブラハムとモーセの祈りを思い出す。主がソドムとゴモラを滅ぼすことを告げた時、アブラハムは「よき者をあしき者と共に滅ぼすのはよくない」と言い、主と交渉に入った。「50人のただしい者がいたら町全体を救ってください」から始まって、45人、40人、30人、20人、遂には10人へとその人数を下げていった。主は「10人の正しい者がいたら滅ぼさない」とアブラハムに押しまくられた。

イスラエルの民が金の子牛を造り、祭壇を築き、いけにえをささげ、そのまわりで戯れた時に、主が怒りを発して「民を消し去る。モーセよ、わたしがなすがままにする」と宣言したとき、モーセは主の前に立ちはだかり議論した。

イスラエルは「神が自ら選びエジプトから導き出した」のであり、滅ぼせば「エジプト人は、主が荒野で滅ぼす目的だったと言う」「アブラハム、イサク、ヤコブとの約束を思い起こしてください」と論争し、主は下そうとしたわざわいを思いなおされた。

この女もアブラハムやモーセのように主と言い合って恵みを勝ち取ったのだ。

イエスは議論で負けたことがない。パリサイ人、サドカイ人、律法学者、祭司長、どんな難題を吹きかけられても、彼らを言葉でねじ伏せた。誰の目から見ても勝負は明らかであった。しかし、ただ一度だけこの女に負かされた。

イエスが女の信仰を「りっぱだ」と言ったのは、告白の言葉からだけではなく、拒まれても、拒まれても信仰を貫いたからである。だから、イエスはより高度な信仰のレベルを彼女から期待し、そして彼女は応えたのだが、イエスが驚いたのは彼女がイエスの期待以上の信仰を表現したからだ。「信仰なくしては神に喜ばれることはできない」のだが、この日イエスは大いに喜ばされたはずである。

◇

平野耕一(ひらの・こういち):1944年、東京に生まれる。東京聖書学院、デューク大学院卒業。17年間アメリカの教会で牧師を務めた後、1989年帰国。現在、東京ホライズンチャペル牧師。著書『ヤベツの祈り』他多数。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:平野耕一
  • ツイート

関連記事

  • 「イエス伝」(37)・・・誰のせいで苦しむのですか 平野耕一牧師

  • 「イエス伝」(35)・・・イエスの不人気2 平野耕一牧師

  • 「イエス伝」(34)・・・人気のないイエス 平野耕一牧師

  • 「イエス伝」(33)・・・イエスと女性たち2―ベタニヤのマリヤ 平野耕一牧師

  • 「イエス伝」(32)・・・イエスと女性たち1―サマリヤの女 平野耕一牧師

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(31)夢の中での再会

  • 花嫁(36)薄明かりの祈り 星野ひかり

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(6)恐れずに主の導きに従う 加治太郎

  • ワールドミッションレポート(10月28日):アイルランド ホームレスからセレブへ 若き成功者ゲッドの回心(3)

  • ワールドミッションレポート(10月29日):アンゴラとザンビアのルヤナ族のために祈ろう

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ

  • 日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害

  • 神の前に高ぶらないで生きよう 菅野直基

  • 私たちを生かす主キリストの御業 万代栄嗣

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • 日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • 英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • 中国当局、政府非公認教会の著名牧師ら約30人を拘束 米国務長官が非難声明

  • イラク人難民のキリスト教徒、フランスでライブ配信中に殺害される

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.