欧州の中央に位置し、息をのむようなアルプスの絶景で知られる山岳国家で、永世中立の国がスイスだ。その雄大な山々の風景は、実は手つかずの大自然が偶然生み出したものではない。それは何世紀にもわたって、人々が家畜を放牧し、計画的に草地を管理し、地域社会に根ざす独自の構造によって維持されてきた。人間と自然の緻密な共生の賜物なのである。
もし人間の手による適切な管理や家畜の放牧をやめてしまえば、あの美しい高山植物の咲く草原は、あっという間に森林ややぶにのみ込まれてしまうだろう。現在のスイスにおけるキリスト教会の歩みは、まさにこの「景観の維持と再生」に向けた歴史的な土地管理の姿と重なって見えてくる。
かつてジャン・カルバンやフルドリッヒ・ツビングリを輩出し、宗教改革の中心地として世界的に多大な影響を及ぼしたスイスは、現在も人口の約75%がキリスト教徒を自認している。しかし、その内情は決して楽観視できない。実際に生きた信仰を持つ福音派の信者はわずか4・4%にとどまっている。
世界最高の生活水準と人間開発指数を誇り、物質的に豊かで快適なこの国では、長きにわたって信仰が形骸化し、人々の心から神への渇望が失われてきた。その霊的な土壌が荒れ地のように放置されてきたのだ。しかし今、このスイスの地に、福音主義の信者たちの間で「新たなビジョン」が力強く湧き上がり始めている。
スイス福音同盟や自由教会、そして多くのパラチャーチ団体は今、かつてないほどの結束を見せている。彼らは単に教会堂の中に閉じこもるのではなく、社会に対してよりはっきりとした一つの声を発し始めた。信仰の自由や福音宣教だけでなく、社会福祉、メディア、青少年問題、さらには彼らが暮らす美しい国土を守るための環境問題に至るまで、多岐にわたる分野で、キリスト者たちが社会的責任を果たすべく立ち上がっているのだ。
彼らは、新しい教会を生み出すことと同じくらい、既存の教会の霊的再生が重要だと再認識しているのだ。荒れ果てた土地を再び耕し、手入れをするように、彼らはスイスの社会全体にもう一度福音の種をまき直しているのである。
この霊的な再耕作の動きの中で、伝統的な教会の枠組みを超えた新しいアプローチも次々と芽生えている。インターナショナル・クリスチャン・フェローシップ(ICF)のような若々しくダイナミックなムーブメントや、急成長する「家の教会(ハウスチャーチ)」のネットワークは、これまで宗教に無関心だった人々や、伝統的な教会から足が遠のいていた人々の心に、新しい形で福音を届けている。それは、世俗化の硬い岩盤に覆われた霊的風景に、新鮮な新風が吹き込まれているかのようだ。
聖書は言う。
あなたがたは正義の種を蒔(ま)き、誠実の実を刈り入れ、耕地を開拓せよ。今が主を求める時だ。ついに主は来て、正義の雨をあなたがたの上に降らせる。(ホセア10:12)
長きにわたって放置された霊的休耕地が耕され、再び命を育む土壌が再生されるように、スイスのために祈ろう。
世俗化の荒野の中で、再び団結しているスイスの諸教会や宣教団体に、聖霊による新たな力が豊かに注がれるように。ICFや家の教会など、伝統的な枠組みを超えて福音を伝える新しい運動がさらに豊かに実を結ぶように。そして、歴史を通じて託されてきたキリストの福音が、力強い命を伴って次の世代へと確実に受け継がれていくよう祈っていただきたい。
■ スイスの宗教人口
プロテスタント33・4%
カトリック 38・3%
英国教会 0・2%
正教関係 2・1%
イスラム 6・1%
無神論 14・8%
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