ピラミッドとナイル川のエジプトは、中東最大の人口を抱える国だ。毎年オープンドアーズが発表している「ひどい迫害国ランキング50」のワールド・ウォッチ・リストにおいて、エジプトは今年42位に位置している。政府トップは、歴史あるキリスト教コミュニティー(主にコプト正教会)に対して肯定的な発言をしているものの、現実の社会では法執行が極めて弱く、信者たちは、常に共同体レベルでの暴力と差別の脅威にさらされている。
迫害の実態は、特に上エジプト(南部)の農村部や、イスラム過激派が活動する貧困地域で顕著だ。キリスト教徒の女性に対する日常的な嫌がらせや、「イスラム教を冒瀆(ぼうとく)した」という根拠のないうわさを立てられ、暴徒らがキリスト教徒を村から追放する事件が後を絶たない。信者たちは社会の多数派から事実上の「二級市民」として扱われ、危険で過酷な仕事しか得られないなど、深刻な経済的・社会的差別を強いられている。
さらに、この国で最も危険で過酷な状況に置かれているのが、イスラム教からキリスト教へ改宗した人々(MBB)である。エジプト政府は彼らの改宗を法的に決して認めない。治安機関は彼らを厳しく監視し、拘束や虐待を加えて社会から孤立させようとするのだ。
しかし、彼らにとって最大の脅威は国家以上に「自分の家族」である。イスラム教から改宗したアダム(仮名)は、自身の父親から受けた激しい迫害をこう証ししている。
「父は私たちを『異教徒』『裏切り者』と呼びました。父がこれほど怒りと憎しみに満ちているのを見たことがありませんでした。父は『お前たちは殺されて当然だ。この村に留まるなら危害を加える』と脅してきたのです」
イスラム社会において、改宗は一族の恥と見なされ、肉親から殺害の脅迫を受けることすら珍しくないのが現実だ。本来家族愛の関係にあるはずの肉親からの弾圧は、改宗した信者たちにとっては、二重の意味での苦しみとなる。
聖書は言う。
私の父 私の母が私を見捨てるときは/主が私を取り上げてくださいます。(詩篇27:10)
キリストを選んだ故に家族から憎まれ、命の危険にさらされている改宗者たちを誰が見捨てようとも、神は決して彼らを見捨てず、その御手に取り上げてくださる。
エジプトのために祈ろう。社会の片隅で「二級市民」の烙印(らくいん)を押され、不当な扱いに苦しむ兄弟姉妹たちが、天の価値観と、主の目から見た自分たちの尊厳を見いだせるように。信仰の故に愛する親族から最も厳しい苦しみを受けている改宗者たちのために。そして、信者を苦しめる社会の差別的な構造や暴力的な風習が打ち破られ、真の信仰の自由と平和がもたらされるよう祈っていただきたい。
■ エジプトの宗教人口
イスラム 86・7%
コプト教会 11・6%
プロテスタント 0・9%
カトリック 0・4%
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