本書は1年365日の黙想書として、毎日の聖句とそれに合った祈りの言葉を載せたものです。私は今年から用い始めましたが、まずもって毎朝の黙想に適していると思います。
例えば、4月7日のページを開いてみましょう。この日の聖句として、ローマの信徒への手紙4章7節の「不法を赦(ゆる)され、罪を覆われた人は幸いである」が掲載されています。
そして、植物の挿絵を挟んで、この聖句から導かれた祈りの言葉が示されます。
主よ、あなたが私を憐(あわ)れんでくださるように、私も人を憐れむことができますように。人を裁いたり責めたりするのではなく、受け入れ赦すことを選ばせてください。私が人を赦すなら、私もあなたに赦され、罪から解放されます。人との関係を速やかに、完全に修復する力を与えてください。
同じ力を他の人にも与えてください。意図的または無意識に私が人を傷つけたなら、相手も私を赦すことができるよう、その人を助けてください。
聖句で罪の赦しが示されていますが、これだけでは抽象的です。しかし、祈りにあるように、主の憐れみによって、自分自身も他者を憐れむ者となり、人を赦すことができるならば、それは罪から解放される道筋となり、この聖書のみ言葉は具体的に自分自身のうちに受肉してくるでしょう。
本書は、カレンダーに沿って聖句と祈りがまとめられているとともに、全体が「不安や悩みから解き放たれたいとき」「怒りを捨て、忍耐強くなりたいとき」「もっと愛が必要なとき」「人間関係に助けが必要なとき」など、24のテーマに分かれています。そのため、それぞれの思いにあるとき、自分の思いと近いテーマのページを開けば、状況に応じた聖句と祈りに出会うことができます。
ちなみに、タイトル中の「全き心」とは、「完璧な心」という意味ではなく、「負の感情を持つことなく生きること、自分という存在や人生の行く末に、平安があること」だそうです(「初めに」より)。
著者のストーミー・オマーティアン氏は1942年、米ネブラスカ州スコッツブラフ生まれです。幼少期に、精神的に不安定な母親から虐待を受け、クローゼットに閉じ込められた経験があり、その影響でうつや恐れ、不安、怒り、絶望感などに苦しんだといいます。
青年期には、薬物や東洋の宗教、オカルトに深く関わりました。睡眠薬を大量に服用して自殺しようと考えたこともあったそうです。しかし、そのような時に神に出会い、神が彼女に与えてくださった解放と自由の道を進むにつれて、徐々にうつや不安から解放されたと証ししています(オマーティアン氏のウェブサイト〔英語〕参照)。
1970年代から本格的に執筆活動を始め、これまでに50冊以上を執筆し、売り上げ部数は世界で数千万部を超えています。
成長期における闇の克服が、その著作に大きな影響を与えているのでしょう。私自身も本書を読みながら、回復を体験した本人にしか分かり得ない、挫折から希望へ向かう祈りの道筋を日々垣間見ています。
■ ストーミー・オマーティアン著、日本聖書協会訳『ひと時の黙想 全き心を求めて』(同協会、2021年11月)
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