いのちのことば社(宗教法人いのちのことば宣教団体)は1日、元職員による多額の不適切な会計処理が発覚した問題を巡り、これまでの経緯と現時点での対策をまとめた文書を公表するとともに、岩本信一社長が3月31日付で辞任し、峯島平康専務が新社長に就任したことをホームページで発表した。
発覚した不正は、元職員が業務上の立場を利用し、販売分野において現金で直接預かった売上金と献金の一部を、長年にわたり不適切に会計処理していたというもの。不整合額は現在調査の途上ではあるものの、数千万円に上るとみられている。
発表の中で同社の安藤能成理事長は、問題の実態解明はいまだ途上にあるとしつつも、「再発防止の取り組みが一定の段階に達した」とし、6月末までの年度途中ではあるが、社長の交代を決めたと説明。さらに「新役員による体制が軌道に乗ることを見極め、理事長の責もバトンを渡す所存」と述べ、今後自身も退任する意向を示した。
発表によると、元職員は2016年4月から24年1月まで同社営業部の責任者だったという。営業スタッフが得た現金の売上金と献金を保管し、社内システムへの売上登録と経理課への入金を行う業務を担っていた。また、営業部の各販売部門での在庫管理と棚卸しの報告義務も負っていた。
24年1月に元職員から退職の申し出があったため、それを受理し、新たに代務者が営業部の責任を担うことになった。すると、過去の販売活動で、各販売スタッフによる日報での売上報告額と実際のシステムへの売上入力額に食い違いがあり、売上登録と入金がされていない会計処理が多数あることが発覚したという。
過去にさかのぼり、売上報告とシステム上の売上登録を突き合わせたところ、確認できる7年間にわたり、数千万円に及ぶ不適切な会計処理があった疑いが浮上した。また、元職員に手渡された献金で、入金が確認できないものが1件あったという。
この調査結果をもとに、元職員に問題点を問いただしたが、明快な回答はなく、間もなく元職員は代理人を立て、直接連絡が取れない状況となった。そこで、同社の役員会は、元職員を懲戒解雇処分とした。
その後も元職員に対して弁護士立ち会いによる説明の機会を設けたが、元職員が直前でキャンセルするなど、誠意ある対応を見せなかったという。役員会は、このままでは全容解明ができないと判断し、理事会とも協議した上で、司法を通しての捜査に踏み出すことを決定したという。
再発防止策については、24年1月に問題が発覚した後、営業部の責任体制を役員3人が監督し、現金売上と献金の取り扱いについて新たなルールを定めるなど、既に実施している対応を説明。その上で、販売・在庫管理システム運用に関する詳細なルールを定め、継続的な研修を実施するとともに、新たに社内監査チームを組織して各部門の業務監査を行うなど、今月以降さらなる取り組みを実施するとしている。
さらに今後は、社外の専門職・有識者の協力を得た上で今回の不祥事を検証するとともに、役員・責任者の選任とその責務に関する規定を新たに定めることなどを予定しているという。

















