インド西部、マハーラーシュトラ州からゴア州、カルナータカ州にかけて広がる美しい海岸線地域がコンカン地方だ。この風光明媚(めいび)な地には、独自の歴史と誇りを持つ「コンカニ・ムスリム」と呼ばれる人々が暮らしている。
彼らのルーツは興味深い。数世紀前、香辛料や織物を求めて海を渡ってきたアラブの商人たちが、現地のインド人女性と結婚して定住したのが始まりだといわれている。そのため、彼らの文化や言語(コンカニ語)には、アラビア文化とインド文化が色濃く融合している。彼らは伝統的に商才に長け、裕福で教育水準も高く、地域社会において影響力のある地位を占めている。
しかし、その社会的な成功と強固なコミュニティーの結束は、福音に対しては、固く閉ざした鉄の扉のような側面がある。彼らにとってイスラム教は単なる宗教ではなく、アラブの血を引くという高貴なアイデンティティーそのものだからだ。
特にゴア周辺の地域には、歴史的にポルトガル植民地時代の影響でカトリック教会が存在するが、コンカニ・ムスリムたちはキリスト教を「西洋の宗教」あるいは「植民地支配者の宗教」として軽蔑し、拒絶してきた。彼らのコミュニティーは非常に排他的で、もし誰かがイエス・キリストに興味を持とうものなら、家族からの勘当や社会的な追放といった激しい制裁が待っている。
現在、約250万人ともいわれるコンカニ・ムスリムの中に、信仰を公にしているキリスト者は極めて少ない。彼らは経済的には豊かかもしれないが、霊的には「命のパン」を知らぬまま、飢え渇いているのだ。
しかし、神の愛は彼らを諦めてはいない。近年、ビジネスや教育の分野を通じて、少しずつではあるがキリスト者との接触点が生まれつつある。彼らの誇りを尊重しつつ、謙遜に仕える信徒たちの証しを通して、閉ざされた扉に小さな亀裂が入り始めているのである。
コンカニ・ムスリムのために祈ろう。彼らの誇り高い心が神の愛に溶かされ、救い主イエス・キリストに出会うことができるように。彼らの中に働くキリスト者たちが、商売や日常の関わりの中で知恵を持って福音を証しできるように。そして、アラブ商人の末裔である彼らが救われ、かつて商品を運んだように、今度は福音を携えて世界へ出て行く「主の商人」へと変えられるように祈っていただきたい。
■ インド・コンカン地方の宗教人口
イスラム教 99・9%
キリスト教 0・1%未満
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