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愛と赦し 佐々木満男

2025年10月10日15時03分 コラムニスト : 佐々木満男
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1. 殺人犯に対する赦しの宣言

2025年9月10日、米国の保守派活動家(ターニングポイントUSAの創設者)で、ドナルド・トランプ大統領の熱烈な支持者のチャーリー・カーク氏(31)が、ユタ州のユタ・ヴァレー大学のイベントにおいて講演中に銃撃され、死亡した。その直前に来日し、参政党代表・神谷宗幣氏と会談し、同党のイベントでも演説していることから、日本でも私を含む一部の人々には、彼の名前は知られていた。

カーク氏は若い共和党支持者層に人気が高く、全米の大学などで保守派の学生運動を組織し、2024年の大統領選挙で若年層の投票行動に大きな影響を与えたため、「トランプ政権誕生の立て役者」としても知られていた。

カーク氏の妻、エリカさんは、亡きカーク氏の追悼集会において、「私は犯人を赦(ゆる)します」と宣言した。その映像がSNSなどで世界中に拡散し、大きな感動を呼んだ。

2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃殺害事件の最大の被害者は、最愛の夫を失った妻、昭恵さんである。しかし、2024年1月24日、岡山刑務所を慰問した昭恵さんは、受刑者の方々を前にして、「私はただ、罪を憎んで、人は恨まず、加害者(山上被告)を赦します」と涙ながらに赦しを宣言した。

自分の最愛の夫を殺害されたのに、なぜ犯人を赦すのか、なぜ赦さなければいけないのか。それは正義に反することではないか。しかし、エリカ・カーク夫人と安倍昭恵夫人はそれぞれ、聖書の言葉に従い、聖霊に導かれて、犯人を赦し、その赦しを公に宣言したのである。

2. 愛は恨みを抱かない

罪がまん延するこの世の中にあっては、意識するしないにかかわらず(悪意、善意にかかわらず)、人により罪が日常的に犯されている。法律により、また社会により、罪を犯した人が制裁を受けるのは当然としても、被害を受けた人にとっては、心の中で相手を赦すことが非常に重要である。

相手を赦す最大の理由は、自分のためである。相手を赦さずに恨みを持ち続けることは、傷ついている自分をもっと深く傷つけてしまう。恨む思い(復讐したい思い)は、神の御心ではない(ローマ12:19)。自分で復讐して恨みを晴らそうとすれば、神から遠ざかってしまい、神の恵みを受け損なってしまうからである。それはかえって、自分の人生を破壊し、他の人たちとの関係に悪影響を及ぼし、自分の勉学や仕事、奉仕にも支障をきたしていく。

しかし、「敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい」(マタイ5:44)、「人を裁くな、自分が裁かれないためである」(マタイ7:1)と言われたイエスの言葉に従うなら、その結果として、自分が赦され(神との関係が回復し)、相手が解放され(自分との関係が回復し)、ひいては社会全体が修復されていくことを体験する。

私たち罪びとを赦すために、父なる神は、あえて律法(義)を十字架の赦し(愛)で覆ってくださり、御子・イエスが全ての人の罪をご自分の罪として負われて身代わりに処刑されてくださった。だから、神に赦されて永遠の命を受けた私たち神の子も、人を裁かず、人を赦さなければいけない。

それは肉なる自分には到底できることではないが、自分の内におられる聖霊に委ねるならば、神の愛に満たされることによって、エリカさんや昭恵さんのように、相手を赦すことができるようになるのである。

愛は恨みを抱かない。(1コリント13:5)

互いに赦し合いなさい。(コロサイ3:13)

父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです。(ルカ23:34)

◇

佐々木満男

佐々木満男

(ささき・みつお)

弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL. M)。インターナショナルVIPクラブ東京大学顧問。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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