世界的な大衆伝道者ビリー・グラハム氏(1918~2018)の銅像が、米首都ワシントンの連邦議会議事堂に設置された。16日には除幕式が行われ、連邦議会上下両院の議員やキリスト教指導者ら数百人が参加した。
連邦議会議事堂には、全米50州の各州を代表する人物の彫像を展示する「国立彫像ホールコレクション」がある。グラハム氏の銅像は、出身地ノースカロライナ州の彫像として設置された。
同コレクションは各州2体、計100体の彫像を展示しており、ノースカロライナ州はこれまで、共に同州の知事経験者であるゼブロン・バンス氏(1830~1894)とチャールズ・エイコック(1859~1912)氏の彫像を設置していた。グラハム氏の銅像は、エイコック氏の彫像と入れ替える形で設置された。
連邦議会議事堂の国立彫像ホールで行われた除幕式では、マイク・ジョンソン下院議長(共和党、ルイジアナ州選出)と、グラハム氏の息子で「ビリー・グラハム伝道協会」(BGEA)と米福音派国際支援団体「サマリタンズパース」の総裁を務めるフランクリン・グラハム牧師がスピーチを行った。また、グラミー賞受賞経験のあるクリスチャン歌手マイケル・W・スミス氏が、「I Surrender All」を歌った。
グラハム氏の銅像は、ジョンソン氏、ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事、同州議会代表団、グラハム家の関係者らが除幕した。
グラハム氏は、1996年に連邦議会が文民に授与する最高位の勲章である「議会名誉黄金勲章」を受章。また、亡くなった2018年には、連邦議会議事堂の中心にある円形広間「ロタンダ」に遺体が正装安置されている。そして今回、銅像が国立彫像ホールコレクションに加えられた。
ジョンソン氏は、米国の歴史で、連邦議会からこれら3つの栄誉を受けたのは、公民権運動活動家のローザ・パークス氏、ジェラルド・フォード元大統領、ロナルド・レーガン元大統領の3人のみだとし、グラハム氏の銅像の設置は「歴史的瞬間」だと話した。
銅像の高さは、台座を含めて約11フィート(約3・3メートル)。台座には、正面から見て右側に、ヨハネ14章6節「イエスは言われた。『わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない』」が、左側にヨハネ3章16節「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」が、それぞれ刻まれている。
銅像のグラハム氏はスーツにネクタイの姿で、左手に持った聖書に右手を差し伸べ、聖書を読むよう勧める仕草が表現されている。米議事堂建築監のウェブサイト(英語)によると、聖書は、グラハム氏が晩年研究に勤しんだというガラテヤの信徒への手紙のページが開かれている。
グラハム氏の銅像を手掛けたのは、米芸術家のチャス・ファーガン氏。ファーガン氏はホワイトハウス歴史協会などの依頼で、米国の歴代大統領45人の肖像画を描いたことで知られており、これまでも、ワシントンにあるヨハネ・パウロ2世大聖堂のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の彫像や、ワシントン大聖堂のマザー・テレサの彫像など、キリスト教関係の作品も複数ある。国立彫像ホールコレクションでは、ロナルド・レーガン大統領(カリフォルニア州、2019年)の銅像を手がけている。
グラハム氏の銅像は除幕式後、ロタンダの真下にあり、連邦議会議事堂を巡るツアーのスタート地点である地下空間「クリプト」に設置された。