米福音派支援団体「サマリタンズ・パース」は、自然災害などの被災者を迅速に支援するため、同国ノースカロライナ州に新たな空輸対応センターを開設するとともに、新しい大型航空機としてボーイング757型機を導入した。
開設された「グリーンズボロ空輸対応センター」は、同州北部グリーンズボロのピードモント・トライアド国際空港に位置し、同州西部ブーンにあるサマリタンズ・パース本部から約160キロの距離にある。敷地面積は約5760平方メートルで、このうち約5110平方メートルは格納庫と事務スペースとなっている。
9月26日には記念式典が行われ、300人余りが参列した。センターでは、操縦士、航空機関士、空中輸送員、整備士を含む20人近くが働くことになる。
サマリタンズ・パースのフランクリン・グラハム最高責任者(CEO)は、米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」(英語)の取材に応じ、「(センターの目的は)大型航空機のメンテナンスを行うこと」であり、「(サマリタンズ・パースの)活動にとって不可欠なもの」だと語った。
センターが開設されたことで、サマリタンズ・パースは今後、「世界のどこかで危機が発生した際、短時間で対応できるようになります」とグラハム氏は語った。
「私たちは12時間以内に野戦病院を飛行機に積んで出発することができます。そのおかげで、私たちはやりたいように活動を続けることができます。しかも迅速にです」
センターは、気候変動や新型コロナウイルス感染症のような危機に対して、サマリタンズ・パースが「迅速に対応するための仕組みやツールを整える」ことを可能にする。「このような危機は少なくなるどころか、さらに増えるでしょう」とグラハム氏は予測する。
「対応は迅速であるに越したことはありません。なぜなら、人命が危険にさらされているからです。私たちは人命を救いたいので、できるだけ迅速に対応することが重要なのです」とグラハム氏は強調した。
グラハム氏によると、センターの開設は5年以上前から計画していた。設計に1年半、建設に2年を費やしたという。センター自体は既に1年前に完成していたが、2機目の大型航空機となるボーイング757型機の改修を待ち、センターの献堂と航空機の献納を同時にするため、この日に記念式典を行ったという。
サマリタンズ・パースは、これまで運用してきたダグラス社(現ボーイング社)のDC−8型機で、7年間に185回のフライトをし、約3630トンの支援物資を数十カ国に届けてきた。
最近では、ウクライナに41往復し、野戦病院と約680トンの支援物資を戦乱の中で届けた。
「2機目の飛行機が757型機で、使えるようになるまで1年半かかりました」とグラハム氏は述べた。「改修が必要なため、米連邦航空局の認可が求められ、認可にかなり時間がかかりました」
757型機は9月初め、山火事に見舞われたハワイのマウイ島に24トンの支援物資を届け、最初の任務を遂行した。サマリタンズ・パースの説明(英語)によると、757型機の貨物室はトレーラートラック3台分のスペースに相当し、最大約30トンの支援物資を輸送することができる。
「新しいグリーンズボロ空輸対応センターと、イエスの御名によって必要を満たす能力を与えてくれる2機の航空機を神に感謝します」とグラハム氏は語った。「私は飛行機の操縦資格も持っており、航空の価値を知っています。災害が発生したときに迅速に対応することができるのは、このようなツールとチームがあってこそです」