米南部6州を30以上の竜巻が襲い、多数の死者が出たことを受け、福音派の国際支援団体「サマリタンズ・パース」が、被災したケンタッキー、アーカンソーの両州の教会と協力し、支援活動に当たっている。支援活動にはこれまでに、ボランティア100人以上が参加。一方、同団体の米国内における災害救援部門責任者であるトッド・テイラー氏は、竜巻の痛々しい爪痕が残る現地の様子を「まるで町を大きなミキサーに入れてから、捨てたような感じです」と話している。
これまでに、竜巻やハリケーンなどの災害130件余りに対応してきた経験のあるテイラー氏は、最も被害が大きかったケンタッキー州メイフィールドについて、「非常に強い竜巻でした。メイフィールドの中心部には、とても幅広く破壊された筋道ができています。完全に壊滅されています。家屋は吹き飛ばされ、土台が露出しています。驚異的(な数)の人命が失われました」と語った。
ケンタッキー州では4つの竜巻が発生し、メイフィールドではろうそく工場が竜巻で倒壊。多くの従業員が閉じ込められたことから、全米でニュース報道の中心となった。工場ではこれまでに、少なくとも8人の死亡が確認されている。
サマリタンズ・パースは、メイフィールドの第一アセンブリー・オブ・ゴッド教会、ケンタッキー州ボウリンググリーンのカルバリー・バプテスト教会、アーカンソー州北東部のメープル・ロード・バプテスト教会と協力し、2州3カ所で緊急の支援活動を行っている。
ボランティアは、折れた木の切断や除去、屋根の防水シート張り、吹き飛ばされた所有物の回収、倒壊した家屋からの所有物の搬出などを行っている。また、雨で濡れたカーペットや壁板の除去や、倒壊した家屋の庭の清掃も多数行っている。
「私たちは、この苦しみの中にいる人々にイエス・キリストの愛を示したいと思っています。私たちはニーズがあることを知っていますので、その場で被災者をイエスの御名によって助けることができるのです」とテイラー氏は語る。「たとえ家屋が壊れていても、庭をきれいにしてがれきを取り除くなら、住人には希望が与えられ、再出発のきっかけになります。そうなったなら、私たちは福音を伝えることができます」
テイラー氏によると、多くの人命が失われ、依然行方が分からない人もいる悲惨な状況の中、メイフィールドの住民はコミュニティーとして団結心を強く保っているという。
ある女性はテイラー氏に、竜巻により夫と別々の場所に閉じ込められた体験を話した。夫婦は24時間離れ離れになったままで、互いの声は聞こえても救助されるまで顔を見ることができなかったという。
「このような状況は地域社会にとって本当につらいことです。竜巻は、『その時は、だれも知らない』(マタイ24:36)という聖句を思い起こさせます。なぜなら、今回の竜巻の襲来は誰も知りませんでした」とテイラー氏。「青天の霹靂でした。そして、竜巻が発生した場所に向かって垂直に車を走らせると、被害がない状態から壊滅的な被害へと変化するのです」と続けた。
その上でテイラー氏は、被災者のためになし得る最善は祈りだとして、次のように語った。
「私たちは祈り続けなければなりません。天の父は祈りを聞いてくださいます。全米の人々が被災者のために執り成していることを知るだけで、被災者に慰めを与えることができます。信仰を持たない人にとって、復興への道は険しいと思います。そして、教会に深く関わり、イエス様を日々の糧としている人たちは、神が今後も見守ってくださるという明日への希望を強く持つことができるのです」