アラブ首長国連邦(UAE)は、中東の宗教的寛容を積極的に推進し、イラクのキリスト教徒生活の回復にも貢献している。
中東の他のイスラム教国に比べ、UAEはキリスト教徒やユダヤ教徒に寛容な風土があり、あらゆる宗派の外国人キリスト教徒のための教会もある。また、イスラエルとの関係も正常化し、大使館が設置され、各国の首脳を温かく迎えている。
昨年、アブダビでは首長国連邦初となる公式のシナゴーグ建設が始まった。これは、3つのアブラハム信仰を代表するモスク、教会、シナゴーグを同じ複合施設の中に建設するという、国費を投入した大規模プロジェクトの一部だという。
テロや弾圧によって消滅の危機に瀕していたペルシャ湾のキリスト教徒を回復させたUAEの役割は、あまり知られていないが重要だ。UAEの文化・青年大臣であるノウラ・アル・カービ氏は、国内外に寛容と平和の価値を広めることを望んでいると述べた。
UAEはイスラム国の影響に反対し、ISISによって荒廃したモスルの歴史ある2つの教会、アル・タヘラ教会とアル・サアア教会の修復に資金を提供した。モスルの町が解放されたとき、ユネスコとのパートナーシップによって進められたこの事業は、和解と社会的結束を育むことができた。
このプロジェクトは、異なる背景を持つ人々を結び付けたのだ。モスルの若いイスラム教徒とキリスト教徒が肩を並べて修復に取り組んでいる。「私たちは、過激派イデオロギーが広めた混乱は元に戻すことができ、分裂する力は、共存と調和という強い力を育て、それを導くことで対抗できるという明確なメッセージを発信したいのです」とアル・カービ氏は言う。
マスコミでは、とかくアブラハムの信仰にルーツを置く、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の対立関係や、テロ事件が報じられることが多いが、互いの違いを乗り越え、共存や協力関係のもとで取り組めることもあるという好ましいサンプルだ。
いずれにしても、アブラハムの信仰にルーツを置く者たちが、アブラハムへの約束の成就として到来したナザレのイエスを信じ、真の意味で一つになることを願わずにはおれない。
軟化しているUAEの人々に、福音の種がまかれ、それが大輪の花を咲かせるように祈っていただきたい。
■ アラブ首長国連邦の宗教人口
イスラム 67・7%
ヒンズー 15・5%
カトリック 4・8%
プロテスタント 0・7%
聖公会 2・2%
仏教 3・7%
バハイ 0・6%
無宗教 1・6%