他の中東諸国に住むキリスト教徒と比較して、ヨルダンのキリスト教徒の多くは、安全で安定した生活を送っている。大多数は正教会かローマ・カトリック教会に所属しており、これらは政府によって承認されている。ヨルダンは、誰もが自分の生まれた宗教にとどまる限り寛容だ。しかし、伝統的でない教会や福音を伝えていると思われる教会、さらにはイスラム教徒からキリスト信者になった者たちには迫害がある。
ヨルダンでは、キリスト教のコミュニティーが監視されており、イスラム教徒出身の信者が自分の改宗を公言するなら、殴打、逮捕、あるいは殺される可能性さえある。イスラム教徒出身の信者が逮捕されると、他のキリスト教徒の情報を漏らすようにと圧力をかけられる。そして、尋問や殴打を受けて何日も勾留された事例がある。
また、イスラム教からキリスト教に改宗した者は、法的にはまだイスラム教徒と見なされるため、キリスト教徒と結婚することは不可能だ。伝統教派のキリスト教徒同士の男女だけが法的に結婚を許される。
シャリーア(イスラム法)では、キリスト信者の妻がイスラム男性と結婚するためにイスラム教に改宗した場合、その結婚は合法とされる。ところが、夫がキリスト信者で、妻がイスラム教徒である場合、夫が妻をキリスト教に改宗するように導き、勧めたりしていることが分かると、脅迫や圧力を受け、日常生活が非常に困難になることがあるというのだ。
国全体では、イスラム教から改宗したキリスト教徒が最も厳しい迫害に直面している。これは全国的にそうなのだが、社会的な圧力や統制は、都市部よりも農村部でより高くなる傾向がある。ヨルダン南部は、イスラム教がより保守的であることが知られている。
ヨルダンで特に厳しい圧力を受ける、イスラムから改宗した兄姉たちが守られるように祈ろう。改宗する信教の自由が政治的にも社会的にも認められて、ヨルダンの宣教が進むように祈っていただきたい。
■ ヨルダンの宗教人口
イスラム 96・5%
プロテスタント 0・3%
カトリック 0・4%
正教関係 1・5%