インドは多様性に富み、宗教的平等が法律に明記された民主的な国のはずだが、にもかかわらず、一部の州ではキリスト教徒であること自体が大きな危険を伴う。
近年インドでは「ヒンズー教徒こそが真のインド人であり、キリスト教徒やイスラム教徒、その他の宗教的少数派は、異質なルーツ故、追放されなければならない」と考える国粋イデオロギーの「ヒンドゥーヴァ」が大きく増えている。ヒンズー教の過激派は、国の一部では極端な暴力まで使い、平然と他宗教者を攻撃するのだ。
近年導入する州が増えている「改宗禁止法」は、名目上、ヒンズー教徒が他の宗教に強制的に改宗させられるのを阻止するためとしているが、実際には、教会による援助物資の配布や、家の教会などの集会をするキリスト教徒への嫌がらせや脅迫の口実として使われることが多い。
これらの法律によって、改宗したキリスト者がヒンズー教に強制的に戻されることもあり、キリスト信者を守るものではない。
宗教的な圧力によって最も危険にさらされているのは、ヒンズー教の背景から信仰を持つようになったキリスト者だ。インドのある地域では、多くの人がヒンズー教に戻るよう常に迫られ、社会的排除、職場での差別、身体的暴行に直面し、時には殺されることさえある。
教会の指導者も特に弱い立場にあり、牧師という職業は、今日この国で最も危険な職業の一つなのだ。ヒンズー教の過激派は、彼らのみならず、その妻、子どもたちを標的にして暴力的な攻撃を加え、より広いキリスト教コミュニティーに恐怖心を植え付けている。
シェカール牧師は、インドで逮捕され、拷問を受け、自宅から強制退去させられた。しかし彼は「投獄され、残酷に殴られ、拷問されても、強く立ち向かいます。昔の預言者は皆そうだったじゃありませんか」と自身の信仰を告白した。
インドのキリスト教徒を取り巻く状況は、近年悪化の一途をたどっている。暴力は依然として極端なレベルにあり、今もキリスト教徒たちは、生活のあらゆる領域で非常に強く極端な圧力に直面している。
2014年5月にナレンドラ・モディ首相率いる現政権が誕生して以来、インドのキリスト教徒に対する圧力は劇的に高まっている。そのモディ首相が、さらに大きな信任を得て、2019年5月に再選されたのだ。政府の後ろ盾によって、ヒンズー過激派は攻撃をとめどなく続けることができ、処罰を免れるレベルも非常に高いのだ。
インドの風紀が、少数派の信仰を受け入れるように変わることが求められる。教会指導者とその家族の守りも必要だ。改宗者の純粋な信仰が、その家族や隣人に強い影響を与えるように祈っていただきたい。
■ インドの宗教人口
ヒンズー 74・3%
プロテスタント 3・6%
カトリック 1・6%
英国教会 0・2%
イスラム 14・3%