文書やラジオで積極的な北朝鮮伝道に取り組む宣教団体、殉教者の声・韓国(VOMK)によると、海外にいる北朝鮮人の出稼ぎ労働者への宣教が続いているそうだ。コロナパンデミック以前の北朝鮮では、一部の国民に対して、国外に出て働くことを許可していた。
経済制裁によって政府保有の外貨が極端に少ない北朝鮮にとっては、北朝鮮国民の出稼ぎ労働は、外貨獲得の有効な手段なのだろう。
ところが、コロナウイルスが発生した当初から、北朝鮮政府は国境を閉鎖しており、国内への感染リスクを軽減するため、海外出稼ぎ労働者の帰国を許可していないのだ。VOMK代表のエリック・フォーリー氏は言う。
「この3年間は、モンゴル、中国、東南アジア、東欧で働く人たちが、出稼ぎ先の現地で足止めを食らっていることになります。しかし、この3年間という時間は、彼らにとって良くなくても、永遠の視点から見て、私たちには良いことなのです。なぜなら彼らに福音を分かち、弟子化や伝道のための3年間が与えられたからです」
VOMKは、政治とは関係なく、純粋な福音宣教に10年以上取り組んでいるが、3年前、当時の親北政権から圧力を受け、気球による聖書発出が極めて困難になった。しかし、彼らは妥協せずに信仰を貫いたのだ。その結果、ミニストリーは縮小するどころか、パンデミック後大きく成長し、北朝鮮の人々に福音を伝えるための新しい扉が開かれている。
フォーリー氏は続ける。「多くの労働者は家にいるので、キリスト教のラジオ放送が功を奏しています。ラジオ放送をもう1つ追加する必要があるほどです。北朝鮮の人々がどこにいようと、私たちが配布した聖書の数は、パンデミックの年ごとに倍増したのです」
北朝鮮の海外労働者がキリストに出会うと、帰国後彼らは自国の人々に福音を伝えることができる。
北朝鮮人権データベースは毎年、北朝鮮国内、海外の北朝鮮人、脱北者から情報を集め、人権や信教の自由に関する調査を行っている。
「このデーターベースによれば、2000年当時、自分の目で聖書を見たことのある北朝鮮国内の北朝鮮人は、どう考えても0%であることが分かりました。実際には、われわれの調査でも、その時点で0・0006%という感じでした。しかし、2021年12月の時点で、北朝鮮人の約8%が聖書を自分の目で見たことがあることが分かりました。これは驚異的な数字です。聖書を自分の目で見ることが処刑の対象となる国で、今や200万以上の人が自分の目で聖書を見たことがあるのです」
幾多の危機を乗り越えたVOMKは、北朝鮮伝道が今、新たな局面を迎えつつあることに手応えを感じているようだ。
彼らの祈りのリクエストは「国内でも海外でも、聖霊が北朝鮮の人々の間で動き続けてくださるよう祈ってください。北朝鮮の新しい信者が、帰国後、同国人に福音を伝えることができるように、帰国前の限られた時間で、信仰が深くキリストに根差し成長できるように祈ってください」ということだ。われわれも心を一つにして祈ろう。