キリスト教の修養・研修施設「天城山荘」(静岡県伊豆市)が、新名称を「天城センター」とし、アジア宣教の拠点として再スタートすることになった。400人近くを収容可能な施設の規模を生かし、アジアを中心とした海外のクリスチャンに積極的に利用してもらうほか、アジア宣教に関わる資料をそろえるリソースセンターを新設する。その一環として、今月には韓国の60以上の教団・団体が加盟する韓国教会連合(CCIK)の代表団が訪問。日本だけでなく、アジア全体の宣教拠点として用いられていくことに期待を示した。
天城山荘は、1954年に開設された国内有数のキリスト教施設だったが、新型コロナウイルスの影響で長期休館となり、昨年9月に一般の不動産管理会社に売却されていた。しかし、同県小山町に本部を置いていた日本オリベットアッセンブリー教団が、売却のニュースを知り、日本の貴重なキリスト教施設を受け継ぎたいと、取得できる道を探していた。取得に伴い、昨年12月に本部機能を移設。今後は教団立神学校も設置する予定だという。
天城山荘はこれまで日本バプテスト連盟が所有していたが、同連盟以外のさまざまな教団・団体も広く利用してきた。天城センターも天城山荘時代と同じく、国内外のクリスチャンに広く利用してもらい、宣教へと遣わされていく教育・訓練の場として用いられることを目指すという。
特に、日本オリベットアッセンブリー教団はこれまで、アジアの諸教会に対する宣教支援に関わってきたことから、天城センターをアジア宣教の拠点とすることを考えている。昨年12月には、アジア国際クリスマス修養会を開催し、同教団の関係者を中心に国内外から約250人が集まった。
また、今月16日から20日にかけては、CCIKのソン・テソプ代表会長を含む5人の代表団が訪問。CCIKとは、宣教協約も締結した。18日には、天城センターのチャペルで合同礼拝を行い、ソン代表会長が説教。40年前に2週間にわたって日本の各地を訪問した経験を振り返りつつ、使徒言行録17章から、当時の文化・学問の中心地であったアテネで大胆に神の御言葉を伝えた使徒パウロの姿を伝えた。
ソン代表会長は、「天城センターで多くの人々が学び、恵みを受けて、日本全域が恵みを受けるように祝福します」と述べ、「日本オリベットアッセンブリー教団を通して、神様の大いなる働きが起こることを願います」と語った。
日本オリベットアッセンブリー教団は、長老派の流れをくむ福音主義の教団である世界オリベットアッセンブリー教団(本部:米ニューヨーク州ドーバ)の日本支部。田中種助牧師によって1929年に開始された「アメンの友」を前身とする「あいのひかり教団」と2014年に合流し、現在、全国に8つの中会がある。
CCIKの代表団訪問や宣教協約締結は、姉妹教団である韓国オリベットアッセンブリー教団がCCIKの加盟教団だったことから実現した。また、天城センターの開設に伴い、CCIKの他、韓国長老教総連合会と韓国キリスト者総連合会からも祝辞が届いており、今後、両団体とも協力していく考えだという。
天城センターの代表となった日本オリベットアッセンブリー教団の谷川健太郎牧師は、次のように話した。
「天城山荘は、2003年のペンテコステに修養会を開催したことがあり、私たちの教団にとっても思い出のある場所です。また、静岡県は私の出身地であり、天城山荘は私の義母が洗礼を受けた場所でもあり、個人的にも大切な場所です。アジア宣教の拠点として主に用いていただけるよう、これまで多くの祈りがささげられてきたこの場所をしっかりと受け継いでいきたいと思います」