文部科学省は4日、2022年度の文化功労者と文化勲章受章者をホームページで公表した。
文化功労者には、将棋棋士でカトリック信者として知られる加藤一二三氏(82)や、旧約聖書学者の関根清三氏(72)、キリシタン史研究で知られる歴史学者の高瀬弘一郎氏(86)ら20人が選ばれた。
加藤氏は14歳7カ月の時、将棋界で史上初めて中学生棋士となり、以来77歳で引退するまで60年以上にわたり現役で活躍。名人、王位、棋王、王将、十段のタイトルを計8期獲得した。通算対局数は2505局に及び歴代1位。引退後もタレント活動を行い、「ひふみん」の愛称で親しまれ、将棋の認知度を高めた功績が評価された。将棋棋士が文化功労者に選ばれるのは、1990年度の故大山康晴氏以来2人目。
聖学院大学大学院特命教授、東京大学名誉教授の関根氏は、倫理学、旧約聖書学が専門。東京大学文学部、同大学院人文科学研究科(現・人文社会系研究科)の倫理学研究室で、学士課程から博士課程まで学んだ後、ドイツのミュンヘン大学に留学。同大学術助手、北海道大学助教授を経て、88年東京大学助教授、94年同大教授。解釈学的な方法論で旧約聖書を読み解き、画期的な業績を残したとして評価された。父は、「岩波文庫版聖書」の旧約聖書の翻訳(関根訳)で知られる関根正雄氏。
慶応義塾大学名誉教授の高瀬氏は、近世日欧交渉史、キリシタン史が専門。同大で学士課程から博士課程まで学んだ後、同大助教授を経て、同大教授。キリシタン史の研究で、質量ともに顕著な業績を残したとして評価された。
文化功労者は、文化勲章に次ぐ栄誉とされ、文化の向上や発達に関して、特に功績のあった人が選ばれる。選定者には、年額350万円の終身年金が支給される。今年は、シンガー・ソングライターの松任谷由実氏(68)も選ばれた。
文化勲章の受章者は、これまでの文化功労者の中から選ばれる。今年は、歌舞伎俳優の松本白鸚(はくおう、本名・藤間昭曉〔てるあき〕)氏ら6人が選ばれた。