米大衆伝道者のフランクリン・グラハム氏(70)をメッセンジャーとした伝道集会がモンゴルで開催され、2千人を超える人々がイエス・キリストを信じる決心をした。
ビリー・グラハム伝道協会(BGEA)の報告(英語)によると、グラハム氏による伝道集会「希望の祭典」が、首都ウランバートルにあるアイスホッケー場「ステップアリーナ」で10日と11日の2夜連続で開催され、延べ1万7千人余りが参加した。オンラインの視聴者も1万8千人に上り、合わせて3万5千人を超える人々が福音を聞いた。
モンゴルはロシアと中国に挟まれた人口約340万人の国。長いチベット仏教の伝統があり、最近ではシャーマニズムが盛んになっているとされる。しかし、モンゴルの教会指導者らの20年近くにわたる祈りが結実し、ついにグラハム氏を招いての伝道集会が実現。250近い地元教会が協力し、モンゴル史上に残る大型伝道イベントを成功させた。
集会では、モンゴル人クリスチャン歌手のナキや、伝統的な楽器や音を用いるモンゴル人クリスチャングループ「ノマディックスピリット」、米ゴスペル音楽協会(GMA)主催のドーブ賞で3度の受賞経験がある米クリスチャンバンド「アフターズ」などがパフォーマンスを披露した。
モンゴル文化を紹介するプログラムに続き、グラハム氏がメッセージを語り始めると、その瞬間を写真に収めようと多くの人がスマートフォンを向ける場面もあった。
「神はあなたを救うために、天から御子を遣わされました」とグラハム氏。「あなたの霊は傷んでいませんか。あなたは霊的にむなしくありませんか。人生を無駄に過ごしていませんか。神のもとに来てください」と力強く促した。
「あなたにはイエス・キリストが必要です。彼は神に至る唯一の道です。イエスは言われました。『わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない』と」
メッセージの最後でグラハム氏は、イエス・キリストにある救いの贈り物を受け取る意志表明として、前に進み出るよう聴衆に呼びかけた。
決心者の一人であるチュルーさん(仮名)という男性は、集会が行われた週の初めに、第2次世界大戦で戦死したモンゴル兵と旧ソ連兵を追悼する記念碑「ザイサン・トルゴイ」の前でBGEAのスタッフに会ったという。チュルーさんが集会に両日参加したのはその後のことだった。チュルーさんは、イエス・キリストを受け入れる前は仏教徒だったが、それ以前の8年間は宗教を信じていなかったという。
グラハム氏が前回モンゴルを訪れたのは2018年だった。グラハム氏はその時、数十人のモンゴル人牧師と会うとともに、自身が率いるキリスト教支援団体「サマリタンズ・パース」の働きにより心臓手術を受け、命を救われたモンゴル人の子ども450人のうちの幾人かと面会した。
BGEAの別の報告(英語)によると、集会に先立ち、プレイベントとして現地教会主催による青年大会も開催された。主催者側は当初、学生500~600人程度の参加を見込んでいたが、実際には1400人もの若者が集ったという。
集会参加者の多くは、ウランバートル市内にある井戸50カ所それぞれから出発するバスに無料で乗車して会場に向かった。それぞれの井戸では、BGEAが集会の2日前から水を無料で提供。50の教会と400人余りのボランティアがBGEAと協力し、水を容器に入れて運ぶのを手伝い、そして福音を伝え、集会への参加を呼びかけた。
「多くの大切なモンゴルの子どもたちの世話をすることができ、感謝しています。物理的なニーズも重要です。そのニーズに応えるため、私にできることは何でもしたいのですが、人間にとって最大のニーズは霊的なものだと思っています」とグラハム氏は語る。
モンゴルの最新の国勢調査(2020年、英語)によると、宗教を信じる人は人口の約6割で、約4割は無宗教。宗教を信じる人のうち、仏教と回答した人は87・1%で大半を占める。キリスト教は2・2%で、イスラム教(5・4%)やシャーマニズム(4・2%)よりも少ない状況にある。
一方、旧ソ連圏で活動する伝道団体「ミッション・ユーラシア」(英語)によると、モンゴルで共産主義支配が終結した1990年に、同国内にいたプロテスタントのクリスチャンは40人以下とされていた。しかし、現在は600もの教会が存在し、そこで礼拝するクリスチャンの数は4万人に上ると推定されている。それでも、モンゴルの大多数の民族グループ(28のうち23)には、いまだ福音が届いておらず、積極的な宣教が必要な状況にある。