アブラハム契約という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「多くの国民の父となる」との契約であり、神学的に言えば「信仰の父」です。
子のイサク、孫のヤコブへとその契約は継承され、相続されました。アブラハムは、神が啓示した約束の地を目指して、75歳で妻たちと故郷を出て、知らない地に出掛けました。アブラハム100歳、妻サラ90歳でイサクが生まれました。その後、砂の数ほどのアブラムの子孫たちが神と共に過ごす、約束の地イスラエルは実現します。
1. アブラハムに見る信仰
信仰によって、アブラハムは、試みられたときイサクをささげました。彼は約束を与えられていましたが、自分のただひとりの子をささげたのです。神はアブラハムに対して、「イサクから出る者があなたの子孫と呼ばれる」と言われたのですが、彼は、神には人を死者の中からよみがえらせることもできる、と考えました。それで彼は、死者の中からイサクを取り戻したのです。これは型です。(ヘブル11:17〜19)
アブラハムは、「神には人を死者の中からよみがえらせることもできる」との強い信仰によって、イサクをいけにえとしてささげたのです。
モリヤ山(今のエルサレム)までいけにえとしてイサクを連れていき、たき木の上にイサクを置いてナイフを振り下ろす直前に、神は「手を下してはならない」と言い、「あなたは一人子でさえ惜しまなかった」と、アブラハムの強い信仰を見て子孫の繁栄を祝福しました。
同じように、天の父が御子キリストを十字架刑でいけにえにすることは、真実耐えがたい悲しみなのです。神だからキリストの死は平気だろうと、間違った考えを持つことがないように、これを型として、父なる神と御子キリスト・イエスとの強い信仰の絆は死に至るまで忠実なものだと教えています。
2. イサクに見る信仰
信仰によって、イサクは未来のことについて、ヤコブとエサウを祝福しました。(11:20)
イサクは、次男ヤコブを長男エサウと間違えて、信仰によって未来のこととして家督相続をヤコブに授ける祈りをし、その後、事実そのようになりました。アブラハム契約が、父イサクから次男ヤコブに相続されたのです。
信仰に始まったアブラハム契約は、信仰の祈りによって子イサク、そして子イサクから孫ヤコブへと相続されました。
兄エサウは、弟ヤコブの従者とされたことを恨み、ヤコブを殺害しようと願いました。しかし、父イサクからの信仰の祈りによって、兄エサウは弟ヤコブのくびきから解放される特別な約束を与えられ、後にエサウからエドム族が生まれました。
3. ヤコブに見る信仰
信仰によって、ヤコブは死ぬとき、ヨセフの子どもたちをひとりひとり祝福し、また自分の杖のかしらに寄りかかって礼拝しました。(11:21)
ヤコブは息子ヨセフの子である孫2人を相続者として祝福し、祈りました。それも、ヨセフの長男と次男を反対にして祈り、アブラハム・イサクの神により12部族として増え広がるようにと祝福の祈りをしました。兄と弟が逆になる、神の御心の不思議です。
「自分の杖のかしらに寄りかかって礼拝しました」とあるように、ヤコブはまだ見ぬ将来に対し、信仰の希望を強く持って神を礼拝し、死んでいきました。
ヤコブは死にましたが、最後まで信仰の確信をもって子どもや孫を相続者として祝福し、祈りました。その後に、アブラハム、イサク、ヤコブの神は、ご自身の約束を確かに実現してくださったのです。
まとめ
アブラハムもイサクもヤコブも、信仰によってまだ見ぬ将来に関して子孫を祝福し、天の都の相続という神の約束が、彼らの子孫によって実現することを夢見ていたのです。そして、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫によって、神の都、天の御国は成就することになります。
御子キリスト・イエスの十字架の死と復活によって、神の御国計画は実現し、信じる者たちが相続者となり、その数が満ちるときに新天新地が天から下ってきます。
今の時代は聖書最後の段階にあり、信仰者の信仰的情熱によってアブラハム契約は成就し、御国は到来します。
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