ロシアによるウクライナ侵攻8日目の3日、人口28万人の南部の都市ヘルソン陥落のニュースが流れる中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、侵攻に屈しない意志をあらためて表明した。
ゼレンスキー氏は演説で、ロシアは「賠償金」について学ぶことになるだろうとし、次のように語った。
「たとえウクライナの大聖堂や教会をすべて破壊したとしても、私たちの信仰、この国と神、人々に対する心からの信頼を破壊することはできません。私たちは、一軒一軒の家、一本一本の道、一つ一つの都市を再建していくでしょう。私たちはロシアに告げます。『賠償金』と『寄付金』という言葉を覚えなさいと。私たちの国や一人一人にしたことは、すべて返してもらいます」
ウクライナでは首都キエフへの攻撃が激化する一方で、南部地域が重要な防衛戦線となっている。ロシア軍は南部地域の複数の都市を包囲しており、この地域を侵略全体の成功のため戦略的に不可欠な地域と見なしている。
ロシアが南部の黒海沿岸地域を制圧すれば、ウクライナの他の地域は海から切り離され、ロシアが併合したクリミアと、ロシア語圏の東部ドンバス地域が直接つながることになる。
南部の都市ヘルソンはこれまでのところ、ロシア軍の攻撃で陥落した最大の都市だ。ヘルソンはドニエプル川沿いにあり、ロシアはクリミアに水を供給する運河へのアクセスを獲得したことになる。
南部にある別の拠点都市は、人口43万人のマリウポリ。マリウポリも現在、ロシア軍に包囲され、容赦ない砲撃にさらされている。ロシア軍の戦略は、マリウポリも奪取し、すでにロシアの支配下にある東部地域とクリミアを直結させることとみられている。2014年にロシアに併合されたクリミアは、南部攻勢の主要な起点となった。
そして今、多くの人が懸念しているのは、ウクライナ第3の都市であり、黒海に面した同国最大の港湾都市で石油の主要輸送拠点であるオデッサだ。人口100万人のこの都市は、ロシア軍がこれまでのところヘルソン以西に大きな進出をしていないため戦火を免れているが、ヘルソン陥落後、付近にロシア軍の艦隊が向かっていることが伝えられている。