「神にとって不可能なことは何もありません」(ルカ1:37)
ある女性が浜辺を散歩していると、波打ち際にきれいな瓶が流れ着いているのを発見しました。「何だろう?」と思い拾い上げ、瓶の栓を抜くと、中から煙と共に天使が現れて言うのです。「あー!やっと自由になれた。実は昔、いたずらをして神様にこの瓶の中に押し込まれ、誰かが栓を抜いてくれるまでそこにいなさいと言われたのです。あなたのおかげで久しぶりにこうして外に出ることができました。お礼にあなたの願い事を1つかなえて差し上げます。どうぞ!」
するとこの女性、「中東の紛争をなんとかしてください」。天使「その問題は複雑な事情がいろいろ絡み合っていて一朝一夕には無理だなー。他の願いはないですか?」女性「じゃー私のことをスーパーモデルみたいに変身させて! ついでに心もきれいにしてくれる?」
天使はその女性をじーっと眺めた後に言いました。「中東紛争の解決の方をやってみます」
1人の人を作り変えることは、ときには世界を変えるより難しいことかもしれません。しかしイエス・キリストは言われます。
「人にはできないことが、神にはできるのです」(ルカ18:27)
人の心と人生を作り変えることは神の専売特許です。米国のミルウォーキー在住のコーデリア・テイラーさんは、アフリカ系米国人です。彼女は1940年にテネシー州の田舎で育ちますが、そこで父親は2人の白人によって殺害されました。そのために彼女は白人中心の米国社会に怒りを覚えるようになりました。
マーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺された晩、彼女は街頭で暴徒と化した黒人たちの中にいました。大きな石を手に取り、商店の窓ガラスに投げつけていました。割れたガラスが崩れ落ちていく音を聞いているとき、イエスが彼女の心に語り掛けられたのです。
「これはわたしのやり方ではない ”This is not my way” わたしに従ってきなさい。わたしのやり方を教えてあげます」
その声を聞いたとき、彼女の中に長い間渦巻いていた怒りがすーっと消えていくのを感じたそうです。その後テイラーさんは勉学に励み、看護師となり、スラムの貧困から脱出して結婚し、8人の子どもに恵まれます。
彼女はキャリアを積み、人々からは成功者と見られていました。ところがあるとき、イエスは彼女にスラム街に戻ってそこでスラムの人々に仕えるようにと言われたのです。彼女はすぐに自分がかつて住んでいたスラム街に家を買って1部屋ずつ改装していき「ファミリーハウス」と名付けました。そこでは認知症の人や車椅子の人やいろいろな助けを必要とする人々が、お金がなくても共に暮らすことができるのです。彼らは一つの家族のように食事をし語り合います。その中で人々は孤独が癒やされ、自己尊厳性を回復していくのです。
テイラーさんはその後も隣接する数件の家を買い足して、今や1ブロック全部が「ファミリーハウス」になっています。しかしそこはスラム街です。ギャング団同士の抗争が絶えず、テイラーさんの施設の裏庭で銃の撃ち合いが起こったこともありました。その日、彼女は銃撃戦の現場に出ていって「Stop it!」と叫びました。するとギャングの一味が彼女に銃を向けたのです。彼女は「いいわよ、撃ちなさい。私は予定より少し早めに天国に行くだけだから」と平然と言いました。
ギャングはびっくりして彼女を見つめ、銃をポケットにしまうと「オバサン、あんたいい度胸してるネ。気に入った。この辺一帯はオバサンにまかせるよ」と言って立ち去ったのです。テイラーさんの「ファミリーハウス」の働きはスラム街だけでなく町全体を復興させ、今やその働きは全米中に広がっています。
コーデリア・テイラーさんの言葉です。
”God has given us all abilities, and if we will just put them to use for His purposes, we can change not only their lives, but our own.”
「神は私たちにあらゆる賜物(能力)を与えられた。それを神の目的のためにささげるとき、人々の人生だけでなく、私たち自身の人生をも作り変えることができるのです」
神は今日も人々の人生を祝福し、作り変えておられます。次はあなたの番です。
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