Skip to main content
2025年7月6日06時46分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
不条理なる死を不可知の光で中和せよ

人生は三度くらいおいしい(その3)

2022年1月27日17時17分 コラムニスト : 藤崎裕之
  • ツイート
印刷
関連タグ:出エジプト記藤崎裕之
不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(14)+

不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(14)

※ 前回「人生は三度くらいおいしい(その2)」から続く。

呼ばれているということ

神は柴の中からモーセの名前を呼んだ。名前を呼ばれることには意味がある。神は「お前の名前は何というのか」とは言わない。ただモーセの名前を呼ぶ。つまり、お前のことは分かっているという意味である。私に近づいてくるお前が誰であるのかを承知している、と神は言われるのだ。モーセは自分が何者なのか逐一説明する必要もない。

実はこれが、信仰の世界でいかに大事なことであるのかあらためて教えられる。われわれは祈りの場において、必要以上に自分のことを説明していないだろうか。まるで神は、私のことなど分かっていないのだという悲壮感に動かされて祈っていないだろうか。われわれ自身のことについて、われわれが神に説明する必要があるのだろうか。われわれが真実なる祈りの時を持つならば、当然「私はすでに神に知られている」という確信を持って向き合うべきではないのか。われわれは祈りの先にいる方の存在すら疑いながら祈っているのではないか。そういう自分自身に対するいら立ちは、誰もが感じるものなのかもしれない。

ギリシャの聖山アトスに伝わる(らしい)祈りはごくごくシンプルである。「イエス・キリスト、神の子、救い主、憐(あわ)れみたまえ」。これを何度も繰り返し祈ると聞く。そうすると、祈っている自分自身が無になっていくと。そこではただ、神と自分自身が深い交わりの中で合一するのだといわれている。むろん、このような祈りは聖山という場所でこそ成立するものであろうが、しかしわれわれもなるべく自分を消した祈りによって、神との交わりを求めるべきではないか、と思わされるのである。神はすでにあなたを知っているのだ。

私はここにおります

「はい、ここにおります」とモーセは答える。ものすごく良い。身震いするほどに良い。普通なら柴の中から呼び掛ける声に驚いたり、当惑したりするものだ。こういう時に「はい、ここにおります」と答えられるというのは、よほど霊牲の強い人間なのだろうと思う。

神は言われる。「ここに近寄るな。お前の足の履き物を脱げ。お前の立っている所は聖なる土地だからである」。普段から聖域という概念を持たない人間は、いろいろな場所にずかずかと入ってしまう。聖域とはなんぞやと考えるとややこしくなるが、覚悟を必要とされる場所というべきか。元来、聖域にはおのずから力があるのであって、その力を侮ってしまうとえらい目に遭うはずである。逆にいうと、聖域の対義語は俗域ではない。聖域の対義語は無礼である。あるいは無関心である。そこに何らかの力が宿っていると意識するなら、聖域と霊域(これは悪魔的な力の支配という意味で)は同じではないが、人間への作用という意味では同じである。聖域は無礼が許されない空間であり時間域でもある。この世のある場所や時間に聖なるものが宿らないと考えるのはけして良いことではないし、キリスト教的でもない。霊域を信じていても、つまりこの世でサタンの作用があると確信している人間であっても、実のところ、聖霊の働きというダイナミックな作用をあまりにも限定的、思弁的、また哲学的な領域に閉じ込めている可能性がある。

神の力が働く場合にのみ聖域が実現するのであって、神の臨在がなければそこは単なる「場」であって聖域とはならない、という考えも成り立つのかもしれない。つまり、信仰的(しかも自分の宗教に関わるものだけ)に限定あるいは指定された場所だけが聖域なのだと考えてしまう。しかし、われわれはもっと謙虚に聖域について受け入れていく必要がある。神はすべてに宿るとはいかなることか。聖域に定められない場所であっても、人間の五感が高まって神の臨在を感じるということも確かにあるのだ。

神は過去の人の神ではない

神はご自身が、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神であると名乗る。この時、われわれは気付くのであるが、モーセにご自身を明かした神は土地の神ではない。ある土地を治めるという意味の神ではないのだ。人と交わる神である。具体的な個人に関わる神である。そして神は、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神であると告げることによって、モーセの魂がどのように動かされていくかをご存じなのだ。そうでなければモーセの記憶、つまりモーセという人間がここに至るまでに何があったのかを思い出させようとする。もちろんそれは、モーセは乳飲み子の時にナイル川に捨てられ、エジプトの王ファラオの娘に拾われた身でありながら、不思議な導きによって彼を育てたのは、イスラエルの末裔(まつえい)である実の母なのだ。モーセのいわばアイデンティティーというものは、ファラオの家にあるのか、イスラエルにあるのか、はたまた、しゅうとエトロの地ミディアンにあるのか。いわば、お前は何者であるのか、ということを神は問われるのである。私はアブラハムの神であるが、お前には関係のないことなのか、ということであろう。

叫ぶ者たちの神である

さらに神は続けて言われる。「わたしは、エジプトにいるわたしの民の苦しみを確かに見、酷使する者の故の彼らの叫びを聞いた。わたしは彼らの痛みを知っている」。神は過去の神ではない。現臨する方である。単にアブラハム、イサク、ヤコブの神であられた方ではない。神は今もなお、ご自身の民を持っているのだ。ここで神は、それがイスラエルであるとは言わない。神の民が苦しみの中にあって叫んでいるのだと告げているのだ。

モーセにとってエジプトは過去の地である。数十年前に立ち去った地である。逃げ去った家であり、自らの意志で捨てた場所である。今、そこで苦しみ叫んでいるのが私の民であり、私が彼らの神であるというのだ。なぜそのことを、そこから遠く離れて生きるモーセに告げなければならないのか。それもまた不思議である。イスラエルであることを捨てた人間をわざわざ探し出し、神はその救済の担い手に定めたのだ。お前が捨てたイスラエルを、私はけして捨ててはいないのだということか。その奥深い事実は、もしかしたらモーセのごとき「捨てた者」でしか理解できないのかもしれない。遺棄された者、遺棄した者だけが、「神はけして遺棄しない」ということを知っているのだろう。これもまた神秘である。(続く)

<<前回へ     次回へ>>

■ 人生は三度くらいおいしい:(1)(2)(3)(4)

◇

藤崎裕之

藤崎裕之

(ふじさき・ひろゆき)

1962年高知市生まれ。明治から続くクリスチャン家庭に育つ。88年同志社大学大学院神学研究科卒業。旧約聖書神学専攻。同年、日本基督教団の教師となる。現在、日本基督教団隠退教師、函館ハリストス正教会信徒。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:出エジプト記藤崎裕之
  • ツイート

関連記事

  • 人生は三度くらいおいしい(その1)

  • 転生なきビジョンはない(その1)

  • エデンの東 終日(ひねもす)のたり のたりかな(その1)

  • 人間とは何か?「裸」で生まれた者として(その1)

  • 不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(1)序論(その1)

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 苦しみというプレゼント 菅野直基

  • 学校法人聖学院、新理事長に田村綾子氏

  • 聖書のイエス(12)「初めに、ことばがあった」 さとうまさこ

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 聖書から事実を引き出す学び「IBS」を分かりやすく説明する講座 7月12日から

  • ワールドミッションレポート(7月6日):タイ 麗しきかな、良き知らせを告げる者の足は

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(8)「建物の話」 三谷和司

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(8)「建物の話」 三谷和司

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(7)人は「単独者」である 三谷和司

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(8)「建物の話」 三谷和司

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 学校法人聖学院、新理事長に田村綾子氏

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • 同志社女子大学とノートルダム女学院高校、教育連携協定を締結

  • 苦しみというプレゼント 菅野直基

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.