茨城県牛久市の東日本入国管理センターに収容された複数の在日外国人が実名顔出しで不正義を訴えるドキュメンタリー映画「牛久」の劇場版予告編が26日、解禁された。
映画を手掛けたのは、米国人ドキュメンタリー映画監督のトーマス・アッシュさん。日本在住歴18年のアッシュさんは、日本聖公会聖オルバン教会の信徒で牧師の息子でもある。クリスチャンの友人らと牛久入管の被収容者らを訪問するボランティアをする中で、人権が軽視されている現状を知り、本作の制作を思い立った。
約2分の劇場版予告編は、「口外しないように。殺されるんじゃないか心配で。でも、日本で実際に何が起きているか、知ってほしいから手記を書いた」と話す男性被収容者の声で始まる。
被収容者たちは入管職員から受けた暴行やいじめ、離婚や堕胎の勧告、収容期間も待遇も裁量で決まってしまう現状、貧弱な医療体制などを訴えている。入管からの報復的措置を恐れて言い出せなかった証言を、被収容者の生の声を通して日本と世界に提示する。
映画に登場する被収容者の中にはクリスチャンもおり、アッシュさんと彼らの間で交わされる同じ信仰者同士としての会話も含まれている。アッシュさんは映画制作の中で強く感じたテーマの一つとして、彼らの中に見た強いキリスト教信仰を挙げている。
昨年6月にドイツで開かれた日本映画祭「ニッポン・コネクション」のドキュメンタリー部門でニッポン・ドックス賞を受賞。同9月には、韓国の「DMZ国際ドキュメンタリー映画祭」でアジア部門最優秀賞、オランダの日本映画祭「カメラジャパン・フェスティバル」では観客賞を受賞した。この他、ニューヨークやロンドン、フランス、ベルギー、シンガポールなど各地の映画祭で上映され、話題を呼んだ。
「牛久」は、2月26日から東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。
■ 映画「牛久」劇場版予告編