ノアの洪水と箱舟は本当にあったことか。
旧約聖書の創世記6~9章に大洪水とノアの箱舟の記事があります。もちろん、事実あったこと(出来事)として記述されています。また、バビロニアの次のような資料に、大洪水について記述があります。
① BC2170年ごろ、ヌル・ニンスブルが記述したウェルドの角柱(楔形文字による)がAD1922年ラルサで発見された。洪水前に生きた長寿の王10人の名を含む、当時の歴史の概要を記すもの。写本BW444粘土板〔創世からイシン王朝末までの王名表を含む〕とBW62〔洪水前の王名を記録〕もある。
② BC257年ごろ、バビロニアの神官ベロッソスの記述した全3巻のバビロニア・カルデヤ史。その第1巻に大洪水までの10人の王を挙げ、「クシストロスの時に大洪水が起こった」と記す。
③ ニップール発掘品の洪水物語。ジウスドラを主人公とするもの。
④ ギルガメシュ叙事詩(アッシュール・バニパル王の図書館で発掘されたシュメール語版粘土板。ほかにバニロニア語版、アッシリア語版、ヒッタイト語版、フルリ語版もある)。これをジョージ・スミスが再発見し、解読した。その第13の書き板に主人公ギルガメシュの洪水物語が書かれている。
⑤ アトラハシス叙事詩(④に並行するもう1つの伝説)
⑥ シュルパックの教訓(BC2600年ごろのバビロニアの文学)。賢人シュルパックの子ジウスドラが大洪水を生き延びた話。
このほか、世界の各地に洪水伝説が残されています。また、それまではどこも長命でしたが、この時の大洪水があったればこそ、上空の水気の層が著しく減少し、以後、有害な宇宙線が多く降り注ぐようになりました。そのため、徐々に人類の寿命が縮減され、長くても120年までとされたのです。現代にまで続く生理現象に合致することになりました。
以上を総合的に考えると、「大洪水」はまさにあった、と見なすべきでしょう。
その上でノアの箱舟について考えてみますと、そういう事態がなかったという根拠は乏しいし、大洪水があったのなら、箱舟もあったと考えて不思議はありません。
最後は、聖書の記事に対する信頼性の問題です。聖書が記述する他の物語についても、多くの考古学上の資料や発掘によっておいおいに事実性が明らかにされてきています。一般歴史とも符合してきています。ならば、箱舟の出来事もその通りのものとして受け止めるのがいいのではないでしょうか。
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