国連の「国際母語デー」(2月21日)に合わせ、世界教会協議会(WCC)は、本部があるスイス・ジュネーブのエキュメニカルセンターでスタッフや来訪者らに、それぞれの母国語で「平和」を意味する言葉を分かち合うよう勧める取り組みを行っている。
国際母語デーは、言語と文化の多様性や、多言語の使用、母国語の尊重推進などを目的に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が1999年に定めた国際デー。毎年この日に合わせて催し物を開催し、世界的な市民教育を推進している。今年のテーマは「多言語教育による持続可能な未来を目指して」だ。
WCCのスタッフや来訪者、またWCCの加盟教会にとって、国際母語デーは平和構築の手段として言語を意識する機会となっている。WCCの広報責任者であるマリアンヌ・エジダーステン氏は、WCCは国際母語デーの霊的側面をユニークな方法で活用していると話す。
「WCCでは、ハトのイラストに平和を意味する言葉を書きます。ノアはハトを飛ばして、人間と動物が持続可能な未来を築ける場所を探しました。ハトが持ち帰ったオリーブの枝は、平和の象徴になっています」
またハトは、聖霊の象徴でもある。ペンテコステ(聖霊降臨日)に、イエスの弟子たちは他国の言語で語る賜物(異言)が与えられ、言葉の壁を越えて見知らぬ人々の心に触れることができた。
WCCは、「平和」を意味するさまざまな言語の言葉を、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアを通じて、世界中の人々と分かち合う。そして、1週間後の2月28日には、さまざまな言語で「平和」と書かれたハトが、スイス西部ボジボッセにあるWCCのエキュメニカル研究所で行われる平和的コミュニケーションに関するセッションで用いられる予定だ。
「正義」や「平和」など、WCCが取り組む主要なテーマにおいて、特に先住民の言語や文化を尊重することは重要だ。WCC加盟教会の多くが描いている平和と和解の構築には、さまざまな言語を保存し、言語の背景を深く理解することが不可欠である。
WCCの言語サービス・コーディネーターであるパメラ・バルデス氏は、英語が公用語として普及しているグローバ化された現代においても、WCCは神からの贈り物として母国語の必要性を痛感していると話す。
「世界中の異文化間で多くの問題が起きている今日、私たちの働きはこれまで以上に重要になっています。WCCは、母国語による翻訳を提供することにより、加盟教会がエキュメニカル運動や正義と平和の探求に全面的に参画できるようにしています」とバルデス氏は言う。
WCCは、348の加盟教会と提携団体によって構成されている。加盟教会に所属するキリスト教徒は世界で5億6千万人にも上り、それぞれの教会では多様な言語や方言が使われている。そのためWCCは、資料のほとんどを英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語で作成しており、必要に応じて他の4言語でも作成している。