宇宙の初めはビッグバンだと科学者は言う。聖書の天地創造は、これとは違うのか。
聖書の創世記1章、2章は天地創造の記事ですが、そこではっきりと記述しているのは、地球の上空わずかと地表面の創造、それに、植物、動物、人間の創造です。それ以前に、空間、太陽その他の恒星それらの塊である銀河や星雲、地球、惑星と月、それから、エネルギー、熱、水、空気、磁力線、さまざまな光線、引力、重力などの基本的な力などの始まりについてははっきりとは書いてありません。
読み方によっては、創世記1章1節「初めに、神が天と地を創造した」の中で、それらの創造もあったと読むこともできますが、その辺をもう少し詳しく知りたい、と科学的に研究した“説”の1つがビッグバン説です。
20世紀の初頭、アインシュタインによって一般相対性理論が樹立されましたが、その定式にあった宇宙項〔斥力〕をめぐって、アレクサンドル・フリードマンやジョルジュ・ルメートルらが膨張宇宙論を唱えました。スライファーはアンドロメダ星雲の光が赤方偏移していることを発見。これがきっかけとなりハッブルの法則が発見されました。
1948年、ロシアの物理学者ジョージ・ガモフが宇宙の元素分布から逆算して「元素は全て宇宙の初めに造られた」とのαβγ理論を発表。これに火の玉宇宙論が付け加えられてビッグバン説となったのです。(“ビッグバン説”とは反対者フレッド・ホイルが揶揄[やゆ]して呼んだ名でしたが、これが通称になったのです)
この説によると、宇宙は何もないところから出現し、原始的な卵の爆発によって空間と時間も始まった、それ以来、膨張と無秩序化を続けている、とする。
この説は、その後1964年、アメリカ・ベル研究所のアーノ・ペンジアスやロバート・W・ウィルソンによって発見された(宇宙の彼方からやって来る不思議な)3K度の電磁波の存在およびアメリカNASAが打ち上げた宇宙背景放射探査衛星COBEの観測した電磁波スペクトルなどによって、正しさが裏付けられた形です。
そのことは、逆に宇宙はそのような始まりはなく、無時間を永遠に存在・活動してきた、という定常宇宙論を否定することになりました。つまり、宇宙はある時点で存在し始めたこと、それならその原因があるはずだとの議論になり、それは神様しか考えられないではないか、との議論に行き着くわけです。ビッグバン説は神に仕える理論だと言われるゆえんです。
科学者の多くが、できれば神なしに“ひとりでに”つまり自然の作用で、自動的に、あるいは、偶然に、無から宇宙が発生したと考えたいので、別の説やこれを乗り越える説を探そうとしています。
聖書は、創世記の冒頭で厳粛に「初めに、神が天と地を創造した」と宣言し、またローマ4章17節で、神は「無から有を引き出す方」であると述べています。ビッグバンという方法でそうされたのかもしれませんし、別の方法かもしれません。どのような方法でそうしたのかは科学の究明に委ねられていますが、いずれにしても、神なしの説ではなかなかうまくゆきません。聖書の言葉〔神による創造〕を信じる方が無理がないのです。
神が創造したことについては、創世記1、2章以外に、聖書の83カ所で、明確に記述されています。