英国国教会は、信仰と科学をより密接なものにしようと、恐竜からDNAといった内容までを扱う一連の新しいプロジェクトを始めようとしている。
プロジェクトの1つ、「牧師を研究室に連れていこう」は、教会に出席している科学者たちが、牧師たちを自分たちが働いている研究室へ連れていくというものだ。
「教会の科学者たち」と名付けられたこの新企画には、計7つのプロジェクトがあり、それぞれに最高1万ポンド(約130万円)の助成金が与えられる。この企画は、教会に通う人々が自信を持って科学に携わることや、科学に関わる職業に従事しているクリスチャンたちの注目度を高めることを目的としている。
イングランド東部ケンブリッジシャーにあるイーリー大聖堂では来年、科学や医学、テクノロジーの発展を祝う科学祭「恐竜からDNAへ」の開催が予定されている。これも、助成金が支給されるプロジェクトの1つだ。
その他、イングランド北部リーズでは、幾つかのバプテスト教会で学生と科学者が集うカフェ・スタイルの討論の夕べが行れる。また、ロンドンの北西に位置するオックスフォードシャーのある教会では、「家族で参加する科学と信仰クラブ」が開催される。さらに、老若男女、人種を問わず、あらゆる階層の人たちが加わって活動を行う「メッシー教会」では、100の科学活動を実際に役立つように開発するプロジェクトが行われるという。
現在、セントオールバンズ教区で牧会長をしているティム・ブル牧師は、英国コンピュータ―協会の元会員で、公認ソフトウェア技師として働いていた。ブル牧師は、「教会の聖歌隊が(歌で)神を表現するのとちょうど同じように、(物質の質量の起源とされる)ヒッグス粒子が神を表現するのです。しかし、聖職者と科学者はしばしばあたかも別々の世界にいるかのように生活しています。このプロジェクトが探求するのは、聖職者と科学者が対話し合い、信仰が科学によって情報を与えられ、科学が信仰によって豊かにされることです」と述べている。
英ダラム大学のトム・マクレイシュ教授(物理学)は、「一般社会の人々が科学者たちと関わることによって、周囲の世界を理解する喜びを味わえるようにすることは、教会の使命の1つなのです」と語っている。
この企画のリーダーであるキャサリン・プリチャード牧師は、「教会は、信仰と科学に関わる大きな問題について、確かな情報に基づく建設的な話し合いを設定し支援していきたいと熱望しています。英国では、こうしたプロジェクトの一つ一つが、信仰と科学の対話を推し進めていくことに、少しでも貢献していくのです」と述べている。
「教会の科学者たち」は全ての主要なキリスト教会に開かれており、ダラム大学が英国国教会と協力して行う3年にわたるプロジェクトにも組み込まれている。このプロジェクトは、テンプルトン世界慈善財団から資金提供を受けており、次のステージに行くための新しい支援を同財団に現在申請中である。