「フロイト以来の革命的理論家」といわれる、米国ペンシルバニア大学教授の心理学者マーティン・セリグマン博士は、10年前に米国心理学会の会長に就任したとき、次のように言いました。
「20世紀の心理学が、肝心なところで人の助けになっていないことに気付いた。つまり、心理学者は憂鬱(ゆううつ)、精神的外傷、苦難といった否定的なことばかりを研究してきた。その結果、心理学は精神障害のための学問のようになってしまっている。本来、心理学は、弱さや障害だけを研究するものではなく、人間の優れた機能を研究するものであるべきである」
そこで博士は、幸せになるための心理学「ポジティブ心理学」を提唱しています。つまり「心理学の応用は弱いところを補い、補助するためでなく、人間の持つ良いものを育むということにも向けられるべきである」というのがポジティブ心理学です。
現在、500人の心理学者と千人の人々が、ポジティブ心理学を実践しています。
これらのポジティブ心理学者たちが挙げる、「幸福な人生を構成する8項目」というものがあります。
- 祝福を数える
- 親切を実行する
- 人生の喜びを味わう
- 良き指導者に感謝する
- 赦(ゆる)すことを学ぶ
- 友人や家族のためにお金とエネルギーを投資する
- 体の健康に留意する
- ストレスや困難への対策手段を持つ
そしてさらに「幸福を構成する3要素」として次のものを挙げます。
- 笑顔(楽しみを持つこと、前向きな感情)
- 何かに深く携わる人生(自分を忘れるくらい夢中になれる仕事、ボランティア活動、趣味を持つ)
- 意味のある人生(自分の才能、能力、財力をささげ、自分の命よりも大きなものに仕えるという使命を持つ)
新約聖書<ヨハネの福音書20章19~22節>に次のような記事があります。
その日、すなわち週の初めの日の夕方のことであった。弟子たちがいた所では、ユダヤ人を恐れて戸がしめてあったが、イエスが来られ、彼らの中に立って言われた。「平安があなたがたにあるように。」
こう言ってイエスは、その手とわき腹を彼らに示された。弟子たちは、主を見て喜んだ。
イエスはもう一度、彼らに言われた。「平安があなたがたにあるように。父がわたしを遣わしたように、わたしもあなたがたを遣わします。」
そして、こう言われると、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。」
復活したイエス・キリストが、恐れている弟子たちに与えたものは、まさに上記の3つのものでした。
- イエスは「シャローム」と言って、平安と喜びを与えました。
- イエスは「あなたがたを遣わします」と言って、弟子たちが没頭すべき仕事を与えました。
- イエスは「聖霊を受けよ」と言って、この働きは神からの使命であり、神への献身であると示しました。
現代の心理学者たちが提唱していることを、イエス・キリストは実に2千年も前から実践していたのです。
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