ナイジェリアで行われた、HIV・エイズに関する研究集会を指導した後、ジェシー・フバラ・マヌエルさんは、エイズへの対応がずっと暗い時代の中にあったときのことを思い起こした。「対応の第一段階は恐怖で満ちていた上に、裁きと拒絶、エイズは神の罰だという感情で特徴付けられていました」と彼女は語った。世界教会協議会(WCC)が10日、公式サイトで伝えた。
ありがたいことに、多くの人々がそうした神学を乗り越えて進展してきたと、フバラ・マヌエルさんは語った。「各国政府や諸教会が地域や国のHIV対応者たちと協働し、HIVの感染について人々を教育してきています」
一方、今、心配なのは、自己満足感が増大すれば悲劇的な破滅につながりかねないことだという。「ナイジェリアでは、エイズの流行が続いています。なぜなら、ナイジェリアは戦争状態にある国であり、HIVに対してより脆弱(ぜいじゃく)だからです」
性的および社会的、文化的な性に基づく暴力は、HIV感染を増大させる重大な危険要素となっている。5月25〜26日にナイジェリアで行われた研究集会では、教会指導者や神学者たちが性的および社会的、文化的な性に基づく暴力の原因や対応を探求するのを助けようと、主催者たちは文脈に根差した聖書研究(CBS)を用いた。CBSでは、ある特定の時における共同体の中で起きているテーマや問題を進める助けとなるような聖書のテキストを確かめることなどをする。
WCCの「エキュメニカルHIV・エイズイニシアチブおよび提言活動」(EHAIA)の西アフリカ地域事務所の協力を受けて、この研究集会は究極的には未来の教会指導者たちがナイジェリアで働く助けとなるだろうと、WCCは伝えた。
研究集会の参加者たちは、人々が自分たち自身の共同体の中で対処する助けとなる聖句を確かめる練習を行ったという。フバラ・マヌエルさんは、「私たちは、保健やHIV、暴力、生活の質、そして尊厳に関する諸問題に焦点を当てるために、CBSを用いる過程を人々が理解するのを助けようとしているのです。言い換えれば、信仰に基づく指導者たちはこれらの諸問題を議論するために、どうすれば聖書を賢く用いることができるのかということです」と語った。彼女はまた、どのような共同体でも、それぞれの地域の体験談は異なると付け加えた。
研究集会では最後に、主催者たちが参加者たちに対し、自らの共同体のために三つの目標を立て、3カ月後に報告を送るよう求めた。「このようにすれば、私たちはその効果が分かることでしょう」と、フバラ・マヌエルさんは言う。
また、研究集会の参加者たちは、性的および社会的、文化的な性に基づく暴力に反対する「黒い木曜日」運動に支持を表した。木曜日に黒い服を着ることにより、彼らは女性に対する暴力を終わらせるよう強く要求する世界的な運動に参加したのである。
女性たちとともに、若者たちはHIVに対してとりわけ脆弱であり、彼らは教会によって受け入れられているのだと感じる必要があると、EHAIA調整担当者のニャムブラ・ヌジョロゲ牧師は述べた。「教会には、若者たちが自分たち自身の性的な健康に対して責任を負うように促す上で、不可欠な役割があるのです。汚名や差別は死刑に等しいものとなり得るのですから」
HIV患者たちが自らの共同体や教会で受け入れられるとき、彼らはより長生きし、その受容自体が癒やしの軟膏(なんこう)としての役目を果たす。フバラ・マヌエルさんは、「ここで、教会は人が成長するか滅ぶかという差をもたらし得るのです」と語った。
この研究集会の前に、EHAIAの代表者たちは国連合同エイズ計画(UNAIDS)や国連児童基金(UNICEF)の国別代表と会合を行い、HIVの母から子への感染を撲滅するための方法を議論した。ヌジョロゲ氏は、「出生前の十分な配慮を得ていないかもしれない妊婦たちに手を差し伸べる上で、教会はとてつもない働きをすることができるのです」と語った。